小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である有沢真尋@9.13「離婚するつもりだった」発売先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。
以下、有沢真尋@9.13「離婚するつもりだった」発売先生よりいただきました文面となります。
はじめまして。
お便りコーナーに文章をお送りするのは初めてです。
「小説家になろう」2018年登録の有沢真尋です。
このたび、小説家になろうに公開した短編「離婚するつもりだった。」の長編連載版が「離婚するつもりだった 私が顔も知らない旦那様に愛されるまで 」というタイトルで書籍化し、ビーズログ文庫(KADOKAWA)さまから9月13日に発売になります。
この作品は、短編版からずいぶん読者さんに応援頂いた小説です。
どうもありがとうございました!
私はこの数年間、短編のコミカライズや連載作品の電子書籍化、受賞作のノベルアンソロ収録や書き下ろしのお仕事などは頂いておりましたが、単著の紙書籍は2024年にして初めてです。
シンデレラだらけの「小説家になろう」では、ある意味で遅咲きと言えるタイプかもしれません。
「小説家になろう」という場所は、才能のあるひとがたくさんいます。
初めての投稿でランキングを駆け上がり、商業化!
投稿始開始一年以内に商業化!
一度商業化したら、以降の新作もそれまでの既存作品も続々商業化!
という先生方を、いっぱい目にします。
まれに、涓滴岩を穿つがごとく「ひとつの作品をずっと書き続けて、それで商業化しました」という選ばれし者もいます。そういう方は「好きなことを書けばいい!」「自分が面白いと思うものはいつか認められる!」という信念を発言したりもしています。
さらに作者の中には「作家になりたいと思っていたわけじゃないけど、なんとなくなってた」と言い出すひとまでいます……! そういった発言を目にするたびに「一生懸命に取り組んでいるはずなのに、結果がでない自分には何が足りないの?」と感じる作者さんもいるかもしれません。
いずれにせよ、こうして「さっさと商業化する」「いくつも商業化する」「売れ線など考えず好きなものを書いても商業化する」という方が見渡せばざくざくいるのが「小説家になろう」です。
作者以上に、読者さんは日々それを「当たり前の光景」として目の当たりにしているかもしれません。
読者さんが作者に求める才能や実力といったものの基準が「そこ」なのかと思うこともあります。
スコッパー気質(埋もれた名作を見つけるのが好き)でもない限り、たいていの読者さんは「外れ」をひきたくないでしょうし、才能のある作者の面白い作品を読みたくてなろうを開いているのではないかと思います。
書籍化したいと願いながら、なかなか声がかからない作者にとっては、夢がある反面、辛い環境でもあるかもしれません。
では、こういった「小説家になろう」という場所で、何年も何年も紙書籍(単著)を出すことなく日々淡々と書いていた私は、何を目的に何をしていたのか?
検索外にあるもの、別サイトオンリーのものを合わせればそれこそ500~600万字以上書いていると思います。なろう登録前は何年間も公募に出していたので、そのへん合わせるともう何作、何文字書いたか全然わかりません。
たまにSNSで「作家デビューするまでに書く平均は300万字」といった有識者の発言が流れてきたりしますが「もうとっくに書いた」と思っていました。「小説投稿サイトにいるとだいたい3年くらいで周りの顔ぶれが変わる」と言われても「私、ずっとここにいます!」とも思っていました。
たくさん書いて、何年も書いて、後から登録したひとがどんどん華々しくデビューしていっても自分のペースで書く。
そこにあるのは「いざデビューしたら、売れる作家になりたい」という信念です。
商業デビュー前に書いている期間は、私にとってずっと準備中の位置づけでした。
この「売れる」という言葉の響きにはムッとする方もいるかもしれませんが、私の考える「売れる」というのは「その作品があることでたくさんの仕事が新たに生まれて、この業界で生計を立てていけるひとが増えること」です。その中に「作者としての自分が、作家としての仕事を途切れさせずに続けていくことができる」という意味も含まれています。
それは、読者さんの支持なくしては成り立ちません。
書籍化しても、打ち切りになる作品があります。なぜそうなるのかを真剣に考えたとき「WEBで読めば十分。買ってまで読む必要はない」と読者さんに思われてしまったのではないか? と思いました。
一方で、大活躍の先生方の作品は、WEB連載で読めるにもかかわらず、グッズ付きの書籍が完売、電書も常に複数のストアでランキングに入っているという例もあります。とにかく熱い強火ファン、コンプリートする勢いで買う読者さんがついていて、しかも日々増えているのではないか? と素人考えながら感じます。
だとすると。
たとえば、たまたま書いた長編1作品で「いきなり人気が出て」「すごいブクマ数・ポイント数で書籍化」だけでは不安になりませんか?
その作品にファンがいたとしても「常時ランキングにいる」化け物作品でない限り、新規の読者さんはそれほど増えず、書籍化しても「ブクマしてくれている読者以外には全然知られていない作品」になっている危険性はありませんか?
私のように商業化まで長い時間のかかったひとは、そういう例をいくつも見て、自分だったらどうするかを考えています。
書籍化した先生が「最初の作品のときは逆お気に入り500名くらいだったかなぁ」と言っているのを見ると、「どんなにブクマがあっても、作者単体で読者に対するアピール力が弱いと打ち切りになるかも?」と考えたりします。
SNSで「フォロワーが多いからといって作品が読まれるわけじゃない!」と言っている先生を見ると「作家として認識してくれる読者さん(固定ファン)がいないと、宣伝力は低いのかな?」と考えます。
こういう考えから、自分なりに「このラインまでいかなければ、デビューしても作家としての活動を軌道にのせられない」(たとえば最初の紙書籍の時点で逆お気に入りさまは3000名以上など)という目標があって活動していたので、たとえ周りがどんどんデビューしても、焦らず自分のペースで何年間も書いていられたんだと思います。
その間、いろんな方にずいぶんお世話になりました。自分ひとりでここまで来れてないです、どうもありがとうございます。
また、「小説家になろう」には頭の良い方がたくさんいます!
私は短編コミカライズの単話配信があったとき、他の先生がしっかり書報申請しているのを見て「単話でもできるんだ!」と気づきました。
電子書籍化の際にお便りコーナーに文章を送っている先生を見て「電子書籍化のときでもOKなんだ!」と気づきました。
考えてみれば、当たり前のことでどこにもだめとは書かれていないのに、最初にやっているひとを見るまで全然思いつかないこともたくさんあります。日々、とても勉強になります。
準備期間が長いと「自分だったらどうする?」ということをたくさん考えることができて、それはそれでとても大切な時間になると思います。
私がお伝えできるのは「自分の活動、これまでの歩み」という一例だけですが、何かの参考になれば幸いです。
最後に宣伝をさせてください。
「離婚するつもりだった 私が顔も知らない旦那様に愛されるまで 」
2024年9月13日発売 ビーズログ文庫(KADOKAWA)
KADOKAWAさまは公式サイトが現在のところ停止していますので「小説家になろう」内の書報にてご案内させていただきます。
https://syosetu.com/syuppan/view/bookid/7522/
ご縁がありましたら、何卒よろしくお願いします。
有沢真尋
【お便りコーナー】第181回: 有沢真尋@9.13「離婚するつもりだった」発売先生
お便りコーナー
2024/09/17 11:00