【お便りコーナー】第139回:やまだのぼる先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である やまだのぼる先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、やまだのぼる先生よりいただきました文面となります。

皆様こんにちは。やまだのぼると申します。
 7月25日に、「アルマーク3 闇の遺跡編」(公式ページはこちら)が発売されております。
 アルマーク、ウェンディ、モーゲンの三人が闇の力が秘められた謎の遺跡に挑む、大幅書き下ろしの一冊となっておりますので、ぜひお手に取ってみてください!

 自分ではものすごく壮大な物語を書こうとしていたのに、いざ書き始めてみたら第一話、第二話あたりのいわゆる冒頭部分を書いただけで筆が止まってしまって、本当に書きたかったところに到達しないまま放置してしまうことって、あると思います。
 私もそういう、玄関だけ作った空き家みたいな作品の残骸がパソコンのフォルダにたくさん残っています。
 そういう作品(の残骸)ってふとした時に読み返してみると、もう自分でも細かい内容を忘れているものだから、割と楽しく読めたりしますよね。
「あれー、これどうして途中で書くのやめちゃったんだろう」なんて思って。でもまた書いてみようとするとやっぱり書けないわけですが。
 そういう残骸を作らずに物語を軌道に乗せるためには、大長編を書く前に、同じ世界を舞台にした短編(掌編)をいくつか書いてみるといいんじゃないかと思っています。
 世界観を伝えるだけ、物語のキャラクターがどういう人物なのかを伝えるだけ、くらいの簡単な短編でいいと思います。
 それでもいざ書き出してみると、あれも決まっていない、これも決めなきゃいけない、という足りない箇所が次から次へと出てくるものです。
 大長編だと、設定を一つ決めるのにも「これからの展開に影響が……」とかいろいろと考えてしまってどんどん筆が重くなり、そしてどんどん面倒になっていってしまうものですが、短編ならその場で物語の都合に合わせてさくっと設定してしまえばそれでOKです。
 そうやっていくつか短編を作ると、もうその世界はただの設定の羅列ではなくて、あなたが作った人物たちが具体的なエピソードとともに生きている、血の通った世界になります。
 それから長編を書き始めると、筆が止まりそうなところは短編で設定を固めていますので、すんなりと進むことができますし、展開に詰まったら短編のキャラクターを持ってきて物語を動かしてもいい。
そんな感じで、少なくとも冒頭部分だけで詰まってしまうようなことはなくなるんじゃないかなー、と思います。
 それと、自分の作った世界について初めて物語を書くとなると、まずはどうしても一生懸命作った設定を語りたくなってしまいますよね。この世界はこうで、この国はこう、ここはこうなっていて、実はここにこんな謎があります……
 いくつか短編を書いてこの「設定を語りたい欲求」を発散させた後で長編を書き始めると、そのあたりもいい塩梅にこなれてきて、肩に力の入っていない自然な設定説明が過不足なくできるんじゃないかなあ、と思います。
 あくまでご参考ということで……

 最後になりますが、もう一度だけ宣伝を……
アルマーク3 闇の遺跡編発売中です。どうぞよろしくお願いいたします!

やまだのぼる