小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である高井うしお先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。
以下、高井うしお先生よりご連絡いただきました文面となります。
初めまして、高井うしおと申します。小説家になろう様で『金の星亭』繁盛記~異世界の宿屋に転生しました~(https://ncode.syosetu.com/n8313dv/)を連載させていただいております。
こちらの作品は2017年12月に書籍化いたしました。本当はそのタイミングで、お便りを出したい気持ちもあったのですが……。私自身、この作品が小説をはじめて書いた……いわゆる処女作である為に、皆様にアドバイスをとなるとどうもおこがましい気持ちになってしまい控えておりました。
そんな私が、なぜ今回こうして筆をとっているかと言いますと……書籍化してからこんな私めなんかに相談をいただく事が少なからずあったからです。
「書籍化したいのですが、どうしたらできますか」
「おもしろいものを書くにはどうしたらいいですか」
その際に私は……ろくにアドバイス出来ませんでした。何度かその際にお答えしている事ですが、書籍化ってゴールではないんです。これ、スタートでしかないのです。やる事なんて正々堂々自分を削って書いていく事……それ位です。そしてその為の方法なんて私は知りません。ただ、書籍化がゴールだって思っていたら無理かもね、ってくらい。
待って! 帰らないで! ステイステイ。一応、なんでアドバイスできないのかなーと考えたので少し聞いていってください。
アドバイスとは自分の理論や方法論を伝える行為じゃないかと私は思っています。最初、私は分析や研究をするタイプではなく野生の感で書いているから、こういった事はできないのだ、と思いました。
けれど、どーもしっくりきません。野生の作家はいます。確実にいます。けど、それと私はどうも違う。読まれる為に、面白いストーリーの為に頭をひねってウンウン言いながらえっちらおっちら書いている私はどうもそういうタイプじゃない。ただ、それが良い物かダメな物かはなんとなく匂いで分かる。……半……野良かしら……。
そこまで考えて、ふっと思い出したのです。他の作家さんと決定的に違う自分の特性を。実は私、元役者なのです。執筆歴は1年ちょっとですが、演劇畑で25年ほど創作活動をしておりました。(大学の専攻もソレ関係です)
ですから、本当に物心ついたときから私は創作活動をしていたのです。それが私のベースになっております。
ありがたい事に「会話が魅力的」という評価をいただいたりしているのもコレが大きな原因だと思うのです。言語化できないはずです。もうすっかり私の生活に、人生に癒着して一体となっている肉体言語のようなものなのですから。
それを踏まえて、今一度……アドバイスをするのなら。
「うだうだ言ってねーで、外にでろ!」
です。待って! 帰らないで! ステイステイ。行くのはコンビニでいいです。そこで店内を見渡してください。商品を選んでいる人の様子は? レジの店員さんの考えている事はなんだろう。新商品のプリンの売りはなんだろう。コンビニに行くだけで読み取れる事って満載なんです。
日々是全てがネタだと思って過ごしてください。見た事のないものをひとつでも多く見てください。話した事のない人と話して見てください。アンテナを立てて、日々を過ごしてください。書籍化するかは分かりませんが、面白い物が書ける可能性はこれでぐっと上がると私は考えています。
小説……物語は、それが神でも草でも仮の人格を与えられたものたちの紡ぐものだと思います。だから人間を否定してその受け入れる器官を鈍化させたものに魅力があるでしょうか。中には孤独の中で、熟成されたものをすさまじい輝きで世に放つ方もいます。ですが……そこまで割り切れますかね?
あと、この方法のいいところはですね、小説家にならなくて、サラリーマンでも公務員でもタクシー運転手でも看護師でも宇宙飛行士でもなんになったって損にはならないってところです。やったね!
せっかくの創作活動です。くるしー! と言いながらも楽しんで行きたいではありませんか。その創作活動はあなたの人生を彩り豊かなものにしてくれる、私はそう信じています。
最後に。
そんな感じで書いた『金の星亭』繁盛記~異世界の宿屋に転生しました~2巻がカドカワBOOKSより4月10日発売されます。
1巻よりもぐっとキャラクターも増えて、私の(多分)得意とする会話の織りなす人間模様がたっぷりつまっているかと思います。何卒よろしくお願いいたします。
【お便りコーナー】第57回: 高井うしお先生
お便りコーナー
2018/03/30 14:00