【お便りコーナー】第99回: 瀬川雅峰先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である瀬川雅峰先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、瀬川雅峰先生より頂きました文面となります。

なろうの皆さん、こんにちは。
瀬川雅峰です。

第八回ネット小説大賞を受賞し、この度『辰巳センセイの文学教室』の上下巻にて、デビューをさせていただきました。

なろうで作家を目指している皆さんの多くより、きっと私は歳を取っていると思います。
小説を初めて書いた日から数えたら、もう30年以上経ちました。若くてデビューしている方がたくさんいる「小説家になろう」の界隈から見れば、私のデビューはずいぶんのんびりかもしれません。


でも、なかなか結果が出なくて、苦しんでいる方も沢山いらっしゃると思います。
自分が歳を重ねていくことを悩み、焦っている方も。
……安心してください。長い時間かけないとできないことが人にはあります。


それは、経験です。


高校時代、小説を書きながら、壁にいつもぶつかっていました。高校生や、マクドナルドや、ファミレスや、部室は描ける。でも、大学のキャンパスや、大学生や、社会人や、偉い人は、さっぱりリアルにならない。
キャラの考え方が子どもっぽいことはわかっているのに、自分の考え方が狭くて、幼くて、異性の気持ちひとつ想像できない。恋愛を描こうとしてもひどく薄っぺらくて、いかにも作り物めいた話、他の作品で見たようなものになってしまう。

……もっと大人になりたい。 沢山経験を積みたい。そう思いながら、SFやファンタジーなら?学園モノなら?少しはごまかしやすいかも?なんて考えて、一生懸命背伸びをして書いていました。


あれから、何百冊と本を読みました。
恋も失恋もしました。
転職も、無職も経験しました。


辰巳センセイは、その全てがあったから書けた一作です。

若い人にスピードやパワーではもう勝てないかも知れません。
でも、深みや経験や知恵では、まだまだ頑張れる。
文筆の世界では、スピードやパワーよりも、経験や知恵でイニシアチブが取れる。
結果が出ない苦しみも、焦りも、嫉妬も、全てが経験になっている。

私の経験の塊がどんな作品を生み出したか。
ぜひ、辰巳センセイに触れてみて下さい。
何年経っても、10年後でもちゃんと楽しめる王道で、古典で、でもオリジナリティに溢れた、人生一作しか書けないくらいの最高の作品です。


歳をとって、経験を積んで、だからできること。
それはいくつになっても、なくならないのだと思います。
今後とも、なろうのみなさんとは良きライバルとして、楽しく切磋琢磨していきたいと思っています。

……いつかの次回作を、また是非楽しんでいただけますように。