【お便りコーナー】第43回: 悠戯先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である悠戯先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、 悠戯先生よりご連絡いただきました文面となります。



 ハロー、ハロー。
 グーテンターク。
 どうも、こんにちは。

 宝島社様より『迷宮レストラン』刊行中の悠戯と申すケチな物書きでございます。ご存知の方は毎度お世話になっております。そうでない方は、どうぞお見知りおきを。

 さて、それで今回お便りコーナーに再びお邪魔しに来たわけなんですが、このコーナーをご覧の方ってご自分でも文章を書いているとか、いつか書いてみたいと思っておられる方がそれなりの割合でいらっしゃると思うんですよ。別に誰かに聞いてみたわけではないので、あくまでもそんな気がするってだけですが。


 で、そんな皆様にお聞きしたいんですが、ご自分で物語を書き始める前と後とで、文章の“読み方”に変化はありませんでしたか?
 従来の“読み手”として以外の視点が増えたとでも言うんですかね。

 私も、書き始めてからしばらくの間は気付いていなかったんですが、どうもここ二年ほど本を読むスピードが遅くなったりだとか、一冊読むだけで妙に疲れる気がしましてね。
 読書スピードには学生の時分から密かに自信を持っていまして、お金がないので図書館に通っては色々なジャンルを読み漁っていたわけですよ。人生で一番読書量が多かった二十歳前後の頃は年間五百冊は超えていたと思います。大学の長期休みとかだと、毎日五冊ペースの時期もありましたし。

 でも、それが最近では一日一冊もキツイことが頻繁にありまして。

 まあ、私もとうとう三十の大台に乗りまして、てっきり歳を食って集中力が落ちたのかとも思ったんですが……どうも、そうじゃなさそうだと最近気付いたんですよ。

 いえ、人間三十過ぎてから一気に身体にガタが来るって話もよく聞きますし、そういう要素もなくはないんでしょうがね。
 十代二十代の皆さん、若いからって夜更かしが続くと後で一気にツケを払うことになるので注意したほうがいいですよ。夜更かしって慣れるんじゃなくて、単に疲労が慢性化して身体が弱ってることを自覚できなくなってるだけですから。実際は着実に脳にダメージ入ってますからね?
 日頃からちゃんと睡眠時間確保して、できれば運動もして、あとマメに野菜食っておきましょう。ブロッコリーがオススメです。あと納豆もいいですよ。


 おっとっと、ちょいと脱線してしまいましたが本題に戻りますと、文章を自分で書くようになると、読み専だった頃よりも視野が広がると思うのですよ。
 これは何も文章だけの話じゃあなくて、イラストや漫画やゲームみたいなインドア寄りの分野から、アウトドア系のスポーツまで、プロアマの別を問わず色々なところに似たような話はあるようです。発信者側になると自然と目線が玄人寄りになるんでしょうかね。

 まあ、これは考えてみれば当たり前の話でして、発信者である製作者(クリエイター)や選手(プレイヤー)と、受け手である観客が同じ視点であるはずがない。
 私はコンテンツの発信者と受け手は対等の立場だと考えていますが、その高さは同じでも、立ち位置が違えば見える景色が変わるのは必然でしょう。




 それで、これはあくまで私個人の経験なので、他の作者様も同じかどうかは分からないんですが、小説を自分で書き始めてから、文章を読む時に注視している部分が、いつの間にか以前と変わっていまして。
 読書スピードが落ちたのは、読み込む深さが自分でも知らぬ間に変わっていたからだったんですね。

 ラノベの場合、以前は『キャラの魅力』だとか『ストーリーの筋書き』といった部分にまず目が行っていました。
 現在でもそれらは勿論重要なポイントには違いないのですが、現在はそこに『文章のリズム感』だとか『情景の空気感』や『言葉選びのセンス』なんかの評価要素が加わってきまして、良い作品を読んだ時に「面白いなあ」という以外に「この人、上手いなあ」、「すごいなあ」とも感じるのですよ。

 例えるなら格闘技の試合なんかで、派手なKOを連発するスター選手だけでなく、駆け引きの巧みさで確実にポイントを重ねていくベテラン選手のいぶし銀的な良さが分かってきた、みたいな感じでしょうか。

(あと、これは書き手の方向けの話なんですが、筋書きとかキャラのような表面的なネタではなく、『リズム感』とか『空気感』みたいな一見して分かりにくい部分をパクる分にはまず読者には気付かれません。著作権的にも完全セーフなので、上手い人の技術はどんどん盗んでいきましょう)。
 




 読み専の中にもそういう目線で文章を評価する方々は当然いらっしゃるのでしょうが、大半の方はそこまで見ていないんじゃないでしょうか?
 別に統計を取って検証したわけではない勝手な決め付けなので、異論反論のある方もいらっしゃるかもしれませんけれど。


 ただ、人気作の中にも文章は荒削りだけれど勢いや熱さに魅力がある方も珍しくはない……というか、そっちが現在の『小説家になろう』の主流なんじゃないですかね。分かりやすくキャッチーな面白さが第一に求められているんでしょう。
 (正直なところを言えば、ランキング上位の作品を見て「ちゃんと読めば自分のほうが絶対面白いのに、どうしてこいつの方が評価されてるんだ」なんて具合に、心が暗黒面に堕ちそうになったことも一度や二度ではありません)。


 まあ、私も別に玄人目線なのが偉いとまで言う気はありません。
 ええ、あんまり?
 そういう気持ちも、ほんの少しはあるかもしれないですけどぉ?
 好みなんて結局人それぞれだしぃ、まぁ別にぃ?
 どう読んだって、好きにすればいいんじゃあないですかねぇ?




 …………まあ、茶番はともかく、小説の面白さっていうのは一見すると分かりにくい部分にもあるのです。

 その点に関しては誰がなんと言おうと断言します。
 同じ作品を二度三度と読み込んでいかなければ気付けない種類の面白さは確実に存在しますし、百回読んだ作品にだって百一回目に新発見が隠れていないとも限りません。


 これは小説に限った話ではありませんが、一度読んで合わないと思った作品を何かの折に見返したらハマったなんて経験はありませんか?
 食べ物でも、年齢を重ねていくうちに味覚が変わって、子供の頃に苦手だった物が無理せず食べられるようになったり、大好物になったりすることはありますよね。


 ならば、表面だけなぞって作品を味わい尽くした気になっているのは、なんとも勿体無い話。
 貴方が十の面白さだと思った作品は、実は二十にも百にも面白くなり得るポテンシャルを秘めているのかもしれないのですから。

 世の作者が日々文章力を磨くように、読者の皆様も読み方を磨いてみては……というと堅苦しいので、普段とはちょっと見方を変えてお気に入りの作品を読んでみては如何でしょうか。

 なんなら、読み専の方も一度お試しのつもりで何か書いてみるのもいいかもしれません。
 もしかしたら、隠れていた才能が目覚めたりするかもしれませんし、いつも読んでいる作品がもっと楽しめるようになるかもしれませんよ?


 では、今回はこれにて失礼。

【出版作品紹介】鳥かごの大神官さまと侯爵令嬢

小説家になろうの作者:奏多さんの書籍の紹介です。

・作品名 鳥かごの大神官さまと侯爵令嬢
・作者名 佐槻奏多
・イラストレータ 増田メグミ
・発売日 2017年4月20日
・販売価格 689円(税込)
・購入方法 書店・ネットストア等で購入可能
・出版社 一迅社
・レーベル  一迅社文庫アイリス
・ISBN 9784758049283

・内容
ある日突然、王子との婚約内定が取り消しになってしまった侯爵令嬢のレイラディーナ。ただでさえ落ち込んでいたのに、追い打ちをかけるようにいわれない非難を浴び、これから先の婚約も望めなくなってしまった。人生に絶望していた彼女だったけれど……。大神官アージェスに出会って考えは一変!? 素敵すぎる超絶美形な大神官様の傍にいたい! そのためには聖女を目指すしかないわ!!
面食い令嬢が、恋のため沢山ごはんを食べる話です!

・その他伝えたい事
いつも読んで下さっている皆様、ありがとうございます。
おかげ様で、鳥かごの大神官さまと侯爵令嬢を無事に上梓することができました。
お手に取っていただければ幸いです!

投稿済み小説管理TOPページの仕様変更のお知らせ

いつも小説家になろうグループをご利用頂きありがとうございます。

本日の更新におきまして、パソコン版及びスマートフォン版の投稿済み小説の管理ページの仕様変更を行ないました事をご報告いたします。

▼変更場所
投稿済み小説>管理ページ

▼変更内容
管理ページでの表示が100部分単位となります。
それに伴い、予約掲載を含む投稿部分数が100を超えた際は、ページャー(ページ送り機能)が設置されるようになります。

仕様の変更内容は以上となります。
今後とも小説家になろうグループをよろしくお願いいたします。

【出版作品紹介】レベルリセッター 〜クリスと迷宮の秘密1〜

小説家になろうの作者:ブロッコリーライオンさんの書籍の紹介です。

・作品名 レベルリセッター 〜クリスと迷宮の秘密1〜
・作者名 ブロッコリーライオン
・イラストレータ saraki
・発売日 2017年4月15日
・販売価格 1,296円(税込)
・購入方法 各書店様、アマゾン等
・出版社 一二三書房
・レーベル サーガフォレスト
・ISBN 9784891994303

・内容
迷宮都市を舞台に繰り広げられる冒険ファンタジー!
魔力が渦巻く〝魔力溜まり〟と呼ばれる場所に欲望が注がれる事によって生まれる『迷宮』ーー。そこには多くの財宝と同時に、財宝を守るかのように数多の魔物が生み出される。 そんな迷宮が存在する街ファスリードで、5歳にして1人で生きていく事になった少年クリス。突如目覚めた、何でも回収する事が出来るスキル《シークレットスペース》を使い得たゴミ回収の仕事の対価として最低限の食事を得る事ができるようになったクリスだったが、心温かな大人達の助力はありながらも自分の力で生きていく為にお金を稼ぐべく、魔物が現れる迷宮へと足を踏み入れていく……。 もうひとつのスキル《エクスチェンジ》とは? そして不思議な夢が意味するものとは……?

・その他伝えたい事
平素より応援して下さっている皆様の御蔭で、レベルリセッターを一二三書房様のサーガフォレストより書籍化させていただけることになりました。

大筋はWEB版とそこまで変更はないものの、既にWEB版でお読みいただいている方にも楽しんで頂けるように大幅な改稿、加筆、新規エピソードも追加させていただいています。

もちろん初めての方も、お気軽に手に取っていただければ幸いです。

またイラストはsaraki様にお願いしていて、クリスとフェルが今後どう成長していくのか、ワクワクするイラストに仕上げていただき、そちらも楽しんでいただければと思っております。


【出版作品紹介】四竜帝の大陸4

小説家になろうの作者:林 ちいさんの書籍の紹介です。

・作品名 四竜帝の大陸4
・作者名 林 ちい
・イラストレータ Izumi
・発売日 2017年4月4日
・販売価格 1,296円(税込)
・購入方法 書店またはネット書店、Amazon等の通販サイトにて購入可能です。
・出版社 一迅社
・レーベル アイリスNEO
・ISBN 9784758049382

・内容
余興の失敗で召喚された異世界で、人の姿にもなれる白い竜ハクの妻となった鳥居りこ。彼女はやっと異世界生活にも慣れてきて、穏やかな日々を過ごしていた。そんなある日、何者かに襲われた彼女をハクが助けてくれたのだけれど……。最強のはずのハクが瀕死の重傷を負い、仮死状態に! そのうえ目覚めたハクは、「りこ」の記憶を失ってしまっていて!?
平凡なりこは最強で最凶な竜の旦那様との愛を取り戻せるのか、それとも永遠に失ってしまうのか――。異世界新婚ラブファンタジー全編書き下ろしの第4弾!