【お便りコーナー】第220回: ユタニ先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるユタニ先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、ユタニ先生よりいただきました文面となります。

こんにちは、ユタニと申します。
この度『異世界に聖女として召喚されましたが、私はただのアラサー女です』が8月1日にアース・スタールナ様より出版されます。
どうぞよろしくお願いします。

さて、アドバイスをということで僭越ながらポイントを取るアドバイスをしてみました。興味がある方はどうぞ↓

私は異世界恋愛を主な住処にしていますので、異世界恋愛限定のアドバイスになります。
これからするのは、文章力や構成力は出来ている前提で(すみません、どの口が偉そうに言うんだとは思っています)、とにかくポイントを取って、あわよくばランキングに入るためのアドバイスです。
そして創作論的なものではなく、かなり即物的なアドバイスになります。

私がするアドバイスは一つです。

胸を張って楽しんでテンプレを書きましょう。

なろうで素晴らしいのはいろんなテンプレがあることです。特に異世界恋愛はテンプレだらけです。悪役令嬢ものに聖女もの、「君を愛することはない」もの、いろいろありますよね。
「どうせテンプレでしょ?」なんて蔑視もされますけど、テンプレで何が悪いんだと私は思う。

テンプレ万歳。
テンプレは安心で楽しいんです。
そう、テンプレは安心で楽しいんですよ。
テンプレだと私も含め読者は皆、安心して楽しんで読めるんです。

素敵ですね。
ここは決意を新たにテンプレに乗っかって書きましょう。
テンプレにもいろいろありますが、オススメはいわゆるドアマットヒロインもの。
不遇なヒロインがヒーローと結ばれて幸せになるやつです。
これは絶対に受けます。しかも流行り廃りはない。だってシンデレラの時代からあるもん。
私も大好きです。つい読んでしまう。

お前のマイページのブクマ、そういうのないじゃん、と思われた方もいるでしょうが、あれは心に刺さりまくったものを公開しているので仕方ない。あれらは別格です。テンプレじゃなくても読まれるものたちです。いきなりああいうのを目指すのは止めましょう(目指してなれる方は思い切り目指してくださいね。私のこのアドバイスには後ろ足で砂をかけて走り去ってください)。

さて、テンプレで書くと言っても作者の独自性はけっこう出せます。というかごりごりに出ます。むしろ出してください。でないと本当にただのテンプレになります。好みを押し出しましょうね。
ヒロインもヒーローも自由に好きに書いちゃってください。私の好みはさっぱり系のヒロインに残念系のヒーローですが、小悪魔ヒロインにチョロヒーローとかもいいですね(おっと、書きたくなってきちゃいますね)。

そしてストーリー。
あっと驚く意外な展開や、複雑な伏線、作り込まれた世界観、練りに練られた設定、なんかは要らないです(もちろん、あってもいいんですよ)。でもおそらく、私を含めて異世界恋愛テンプレを安心して楽しもうと思ってる人たちはそれらを重視してません。あったらより楽しめるけれど、なくてもいいんです。素直に単純に書きましょう。

そうやって書きだした、あなたのテンプレ異世界恋愛。題名とあらすじはこういうテンプレのやつだよ! と分かるようにしておきましょう。
あとはただ書くだけ。とにかく書いて、更新は毎日もしくは数日置きくらいできちきちしましょう(経験上、更新時間はいつでもいいかなと思います。なんかね、いつ更新しても誰かは読んでくれます。なろうってすごいですね。なのでやりやすい時にしましょう)また、完結は必須です。

そして一番大切なのはテンプレを楽しみ抜くことです。
「ウケ狙いで書いてるだけだよ」とか止めましょうね。とにかく開き直って楽しみましょう。

これでたぶんポイントが取れるはず(たぶんですよ)。
運が良ければ連載中に、運がなくても完結ブーストでポイントが取れるはずです(たぶん)。

そしてたくさんの人に読まれたら、その人たちはあなたの他の拘りの作品にも興味を持ってくれるはずです(たぶん)。

以上です。

そしてこんなアドバイスしておきながら冒頭の『アラサー女』はテンプレからはけっこうズレています。これはいわゆる聖女のオマケが本当にオマケだったけど何とかする話で、主人公はドアマットでもなければチートでもない、そしてざまあもないです。
なんか、すみません。

因みに、私の初めての商業化作品『元侯爵令嬢の辺境使用人ライフ』の方は「よし! 出だし最悪からの〜、なテンプレを書くぞー!」と書きました。作者としては王道ラブストーリーを書き切ったと思っています。目論見通りたくさん読んでいただけて、こちらに釣られて他作も読んでもらえました。

参考になったかな?
なっていれば幸いです。

それでは長々と失礼しました。
皆様、良いなろうライフを。

【お便りコーナー】第219回:水島紗鳥@今どきギャルニコニコ漫画月間お気に入りランキング1位先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である水島紗鳥@今どきギャルニコニコ漫画月間お気に入りランキング1位先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、水島紗鳥@今どきギャルニコニコ漫画月間お気に入りランキング1位先生よりいただきました文面となります。

皆様こんにちは、水島紗鳥(みずしまさとり)です!

お便りコーナーには第201回でも登場したのでもしかしたら覚えている方もいるかも…?

小説家になろうでは主に現実世界恋愛ジャンルの作品を投稿しています。

このたび、一二三書房ブレイブ文庫から2025年6月25日に『何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件』書籍版第1巻が刊行されました。

公式サイト
https://hifumi.co.jp/lineup/9784824203939/

Amazon
https://www.amazon.co.jp/何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件1-一二三書房-水島紗鳥/dp/4824203937

前回紹介した作品はコミカライズでしたが、今回はついに念願の書籍化を果たすことができて嬉しい限りです!

応援してくださった読者の皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。

そしてお便りコーナーという事なので前回と同様、創作の参考になる情報をお届けしようと思います。

皆様に伝えたいことは、コンテストに落選し続けた作品でも評価する人が変われば結果は変わるかもしれないという事です。

例えば今回書籍化した作品は小説家になろうで開催されていたコンテストに複数応募しましたが、ことごとく落選していました。

ですが、そんな選考で落ち続けた作品を読んだ一二三書房様の編集者様からは評価頂けたようでブレイブ文庫から書籍化が実現しました。

ですので、その時評価されなかったとしても諦める必要は無いと思います。ぜひ挫けずにチャレンジしてみてください!!

【お便りコーナー】第218回: MIZUNA先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である MIZUNA先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、MIZUNA先生よりいただきました文面となります。

皆様、はじめまして。
MIZUNAと申します。

私の処女出版は『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当にいきます』という作品です。

既にご存じの方は、この場を借りてご愛読の御礼申し上げます。
まだという方は、ぜひこの機会に一度ご覧いただければ幸いです。

私は商業作家としての経験が三年程度と、まだ浅い者です。作家の世界はとても広く、周囲を見渡せば凄い人ばかり。その中で経験の浅い私が助言というのはおこがましいとは思うのですが、少しでも皆様のお力になれればと考え、この度は寄稿いたしました。読み進める中で『自分には合わないな』と感じましたら、そっとブラウザバックをしてくださいませ。

では早速ですが、私が書籍化を目指すのに必要なのは『分析力』だと思っています。
小説、漫画、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、舞台……などなど。

世の中には様々な優れた作品、物語がありますが『面白い』と自分が感じた時、『何故、自分が面白いと思ったのか』を言語化し、文字に起こしてみたことはあるでしょうか。

おそらく、ほとんどの方はしたことがないと思います。実際、私も作家になるまで『面白い』と思うだけで『何故、面白いのか』なんて考えたこともありませんでした。

しかし、出版社の目に止まって書籍化されるような作品を目指す、となれば『他作品が何故面白いのか?』という部分をしっかりと分析することが一番の近道になります。

私の処女作でもある『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます』は、様々な作品を読んでいく中で『なんでこうした作品がないんだ。なら、私が書いてみよう』という動機から書き始めたものです。
 
当時は特に考えがあったわけではありませんが、今になって振り返ってみれば結果的に『市場を分析し、市場に求められる作品』に行き着いていたんだと思います。

では、作品の分析力をどう身につければよいのか? という部分は、私がここであれこれ説明するよりも『SAVE THE CATの法則 著者:ブレイク・スナイダー 和訳:菊池淳子』を読んでいただき、本に書かれている内容を今までに『面白い』と思った作品全てに当てはめていくのが一番わかりやすいと思います。

例えば、映画ターミネーター2の冒頭でターミネーターを演じる『アーノルド・シュワルツェネッガー』が時間転移の球体に包まれ『裸』で登場し、地面はえぐれています。

しかし、どうして『裸』で『地面もえぐらせる』必要性があったのでしょうか。登場の演出で、視聴者である我々は何を感じ取ることができたのでしょうか。

ぜひ、『SAVE THE CATの法則』を読んで『ターミネーター2』を見直してみてください。きっと書籍化を目指せる作品作りに必要な分析力に繋がっていくと思います。

演出の答えを知っているのは監督だけですから、答え合わせをすることはできません。しかし、『あれはこういう意図でしているはずだ』という仮説を立てつつ、自分の作品に取り入れることはできますので、こうした『思考』と『気付き』を得られることが一番重要だと思います。

そんなこと知っているし、すでにやっている……という方は、経験の浅い作家の戯れ言だと聞き流してくださいませ。

この寄稿が皆様の創作活動に少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは最後に少しだけ宣伝をさせてください。

『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます』こと悪役モブの書籍12巻とコミック4巻が2025年9月15日同時発売が決定。

TOブックスオンラインストア様でコミック4巻と書籍12巻を同時購入されますと、Ruki先生・戸張ちょも先生の描き下ろしイラストに加え、私の書き下ろしSSも特典としてお付けしております。よろしければ、そちらもぜひご検討ください。

近年は電子書籍の普及や書店様の閉店などの影響もあり、紙書籍を取り巻く状況は厳しくなっております。『悪役モブ』シリーズは累計30万部を突破いたしましたが、紙媒体に関しては、もう一押しが必要です。

もしご興味がございましたら、ぜひ書籍12巻およびコミックス4巻を紙媒体でも手に取っていただけますと幸いです。以下にリンクを記載いたしますので、ぜひご覧下さい。

TOブックスオンラインストア様
https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=187371808

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
敬具
MIZUNA

【お便りコーナー】第217回: 山口じゅり先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である山口じゅり先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、山口じゅり先生よりいただきました文面となります。

はじめまして、山口じゅりと申します。

小説家になろう様で「聖森聖女~婚約破棄された追放聖女ですが、狼王子の呪いを解いて溺愛されてます~今さら国に戻れって言われても遅いですっ!」を連載しております。

この度、『聖森聖女』のコミックス4巻が、一迅社comic LAKE様より発売する運びになりました。
聖女ルチルと狼王子ルカの恋が大進展!? コミックス限定の書下ろしおまけマンガ(※ルカが嫉妬を見せちゃいます)も素敵な一冊に仕上がっているので、ぜひご予約、ご購入いただけたら幸いです!

『聖森聖女』第4巻 アニメイト予約
https://www.animate-onlineshop.jp/pd/3136685/

『聖森聖女』第4巻 書報【楽天、Amazon予約リンクあり】
https://syosetu.com/syuppan/view/bookid/8289/

読者の皆さまのおかげで、コミカライズも順調で作者としては嬉しい限りです。
この場をお借りしまして、御礼申し上げます。

さて、以下創作についての話です。

◆◆◆◆◆◆◆◆

今回は、読者の心に残るシーンってどう作るの? というトピックでお話したいと思います。

シーンにはいろいろな書き方がありますが、
「読者の心に残るような良いシーンは、どうしたら書けるだろうか?」
なんて、小説を書く方なら一度は考えるんじゃないかなぁと思います。

私の答えは、
①そのシーンによって、主人公と人との関係性が変わる(あるいは主人公のありかたが変わる)こと。
②セリフだけでなく、行動があること。
これが、読者の心に残るシーンに必要なんじゃないかなと思っています。

例えば、告白なんかが①にあたります。
告白は二人の関係性が恋人へと変化するターニングポイント。どうしたって印象に残ります。

そして、好きだよ、という愛の言葉を告白するだけじゃなく、好きだよ&キス!な~んて行動を付け加えただけで、告白シーンが素敵になる気がしませんか?
この、告白(セリフ)とキス(行動)が、②にあたります。

二人が語るだけでシーンが終わるのではなく、語る以上に行動する、あるいは、行動しかしない。
人の動きと、関係性(あるいは内面の変化)を伴ってこそ、良いシーンになるのではないでしょうか。
ちなみに、聖森聖女では、ヒーローが愛を言葉にはしないけれど、行動で示しまくっております笑

なろうの書き手のみなさまの、創作の一助になれば嬉しいです!

山口じゅり

『聖森聖女』pixivコミックで連載中【無料で読めますのでぜひ読んでください♪】
https://comic.pixiv.net/works/9176

【お便りコーナー】第216回: 玉露先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である玉露先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、玉露先生よりいただきました文面となります。

こんにちは、玉露と申します。
世間からすると、処女作のみ商業化経験があるだけの人間ですので、「作家」といっていいのかは定かではござませんが、商業作家を目標とされている方へ経験をもとに提案できれば、とお便りを送らせていただきました。

最初の商業化は10万字前後で完結のある作品にする。

おすすめする提案はこれだけです。
10万字前後時点で一度区切り、最初に主人公が直面した問題・事件は解決させてください。それを1部とした場合、2部も同様に10万字前後で区切りのあるものにされるとよいでしょう。3部以降はおまかせします。
タイトル回収もできれば、1部以内にしておくのが望ましいです。

文庫などは約12万字が目安です。
商業化の際に改訂や書き下ろしがあることを考慮して、10万字ぐらいがWEBに掲載するにはちょうどよいでしょう。
理由は、出版社と結ぶ当初の契約条件が、基本1~2巻分の刊行しか確約していないからです。

漫画家でいうところの連載獲得のために、雑誌に読み切りを載せてもらっている状況と考えていただけるとイメージしやすいかと思います。
つまり、まずは最初の1巻だけで読者に満足感を与え、この作品の続きを読みたいと思わせないといけません。
満足感を与える一因が「その一冊で完結している。読み切れること。」です。to be continuedをしてしまうと、期待する人と、続刊がでるまで待てずにもやっとしてしまう人もいる一長一短の賭けとなります。

1巻刊行以降は、売上という運任せかつ実数値での判定が基準となります。
面白ければかならず売れるという世界ではないため、複数巻で完結前提の作品を最初に商業化されてしまうと、結果として続刊できなかったときに読者側へは「中途半端に終わった」という印象を与え、作家側もWEB連載を継続していた場合、続刊できなかった失意で連載継続が困難になり、最悪エタります。
WEB側でも完結できなかった場合、この作家は「WEBでも完結できない」とさらに信用を失う恐れもあります。

商売は失った信用を取り戻すのが大変です。
不測の事態で事情があったとしても、ほとんどの方はみえる結果だけで判断されます。

なので、商業化の当初は、
契約条件の出版確定巻数で一定の完結をするものにされるか、
短編でアンソロジーコミカライズ化を狙い、
作風を知ってもらうというジョブを打つことを推奨します。

作品に詰め込んだ要素をぜんぶ一度に語りたい気持ちはあるでしょうが、そこをぐっと堪えて、徐々に小出しにするようにされてください。「続刊で明かされる新事実!」とかの方が読者も期待を寄せやすくなるので、後回しになっていい設定・要素は後出しにしましょう。

自分は商業化を視野に入れていなかった人間で、商業化の結果がどうであろうとWEB版で完結させることが目標だったため、コロナ禍(緊急事態宣言)の大打撃でノベライズの続刊ができなかったことは連載に支障を来たしませんでした。
しかし、商業作家を目標にされている方は、そこで傷付きます。商業化が決まった時点が、出版社にとっては数うち当たる弾のひとつでまだ試用期間であることを後になって知るのです。

創作のモチベーション維持のために、安牌をきるのは全然アリです。いいじゃないですか、保身で堅実な手法をとっても。
それに、この手法に慣れると完結力を磨けるので、商業作家に必要な1冊に物語を収める力が磨けます。

この約10万字ごと完結手法、実はコミカライズのときにも役に立ちます。
通常、小説1巻分は、コミカライズの2~3巻分に相当します。この巻数は、マンガで続刊できなかった場合の完結巻数でもあります。5巻の壁などとマンガ業界ではいわれ、5巻以上の続刊が困難なことが一般的です。ということは、小説で2巻までを1巻完結方式にすれば、コミカライズ側で5巻以下完結だとしても有終の美を飾れます。
小説を読まずマンガしか読まない方からすると、原作があるかどうかにかかわらず、漫画家先生の作品とみなされるので、漫画家先生の評価まで中途半端で終わった方と誤解されかねません。
けれど、運命の分かれ道までは1巻完結方式をとっておくと、お互い有終の美を飾ったと読者によい印象を与えることができ、原作側にも漫画家側にもWin-Winな結果となります。ひとつきれいに完結できた作品があるというだけで、読者から信用を得られるのでよきです。

文字数がいくら多くても大丈夫なWEBと、『本』という枠での制限がある商業は勝手が違います。
戦争などいろいろな諸事情により紙価格が高騰し、コスト高により紙媒体での出版ハードルがあがっている昨今です。続刊の基準値がシビアになっていることでしょう。
確約分しか巻数はでない可能性を踏まえているかどうかで、商業化を意識した作品作りも変わってくるのではないでしょうか。
1冊内に起承転結を収める練習にもなるので、よろしければ約10万字完結での積み木方式をお試しください。

この案を採用されるかは任意ですが、志の高さゆえに現実とのアンマッチで傷付く方が減るよう祈っております。



以下は自身の経験談なので、確認されるかは任意です。
(あくまで、自分の場合はこうだったというだけのものになります)

今回のお便りの寄稿を思い至ったのは、コミカライズくださっている漫画家先生にお手数をかけて申し訳ないな、と感じたからです。
あ。よい経験をしたこそ感じたものですので、その点だけ誤解なきよう。

処女作のコミカライズは一応現在も連載中でして、それでもコロナ禍により3巻完結しかけていました。そうなっていたとしても、タイトル回収はしていましたし、約10万字で区切りながら書いていたのでそこを目安に完結はできていたことでしょう。
読者様の応援により現在も連載しているものの、続刊の仕方が、新刊がでる都度売上見合いで、「もう1巻分描いてもいいよ」と許可いただくのをくり返しての現在です。
またコミカライズ3巻でる前には、原作は約6冊分の量でWEB完結していました。
そうなると、3巻完結ver.、4巻完結ver.、5巻完結ver. ……とどこでどう終わるかを都度、追加できる量から見直してプロットを再構成する手間が発生します。漫画家先生が原作を気に入ってくださり、自分が原作側で真の完結を迎えてしまったばかりに、可能な限り原作の要素を取り入れた完結ができるよう毎度腐心くださいました。削るのをすごく惜しんで、真の完結までもっていけないかと唸るほど悩んでくださるので、大事に扱われて嬉しい分だけ、とても申し訳なく感じたのです。

だからこそ、
状況の推移に応じてプロットを再構成するにしても、積み木方式の作品だったら、漫画家先生ないし構成担当の先生の稼働が比較的軽く済んだのだろうと感じました。

商業化を視野に入れた場合のスタンスを学べたのが処女作です。

処女作:乙女ゲーのモブですらないんだが
漫画:日芽野メノ先生
原作:玉露
出版:スクウェア・エニックス
掲載:マンガUP!
https://www.manga-up.com/titles/606