【お便りコーナー】第50回: リューク先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるリューク先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、リューク先生よりご連絡いただきました文面となります。



初めましての人は初めまして。
いつもお世話になっている人は、どうもです。

さて、私この度一二三書房から「異世界に転生したので日本式城郭をつくってみた。」でデビューいたしました、リュークと申します。

さて、今回こちらに寄稿させて頂いたのは、これから書こうかどう かと迷っていらっしゃる方に少しでも勇気を与えられたらと思い寄稿させて頂きました。

実は私、小説自体を書いた事がこれまでの人生で一度もないどころか、作文すらも苦手なダメ小学生でした(笑)

それがまぁそのまま大人になって社会人となり、電車移動の際の暇つぶしに読み始めたのが、この「小説家になろう」の作品でした。

元から本が好きだったのもあり、有名な作品からアマチュア感の漂う作品までありとあらゆる作品を読んでいたのですが。

その中でなんとなくです。ただ何となく「書いてみようかな」という気まぐれが生まれてしまったのです。

それからはもう一心不乱、無我夢中の執筆活動の開始です。

最初の作品「劉皇国戦記」は鳴かず飛ばずで した。
けど、読んでくれる人が居る。一日に100回もアクセスする人が居る。
自分の作品に評価をくれる人が居る!
この快感を知ってから、更にのめり込みました。

それが、実は昨年2016年なんです。(投稿現在2017年)
そう、1年です。たったの1年で書籍化しちゃったんです。(オロオロ)

ただ、この1年本当に楽しかったです。
新しい人たちに出会い、私の作品を好きだと言ってくれる人、嫌いだという人色んな人に出会いました。

中には無名の頃の私の作品に絵を描いてくれる人まで。
本当に、本当にすごい体験をたくさんさせていただきました。
だからこそ、私は言いたいのです。

これか ら書こうと思っている方々、一緒にこの世界を楽しみませんか?
沢山楽しい作品を作ってみませんか?
もちろん日の目を浴びるまでは長いかもしれません。
でも、控えめに言って「最高!」ですよ!

さて、もっと色々と語りたいのですが、長々と語ると読みにくいので最後に宣伝をします。
「異世界に転生したので日本式城郭をつくってみた。」が8月15日に全国書店等で発売しております!

私の情熱と楽しさと、たくさんの人の思いが詰まった作品を是非ともよろしくお願いします。
そして、もしよろしければ、お手に取って頂き私の身命と頭脳の限りを賭して書いた作品をお読みいただければと思います。
なお、イラストは「村カルキ」先生の美麗イラス トです!城にもこだわって頂きましたので、是非ともよろしくお願いします。


「異世界に転生したので日本式城郭をつくってみた。」は、(http://www.hifumi.co.jp/books/lineup/9784891994587.html)から試し読みもできますので、是非ともお越しください。

また、全国書店や専門店で好評発売中です!1からつくられていく城と村の様子を是非お楽しみください!

【お便りコーナー】第49回: 薄味メロン先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である薄味メロン先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、薄味メロン先生よりご連絡いただきました文面となります。



 はじめまして、アーススターノベル様から『なんか、妹の部屋にダンジョンが出来たんですが』を出版していただけることになった薄味メロンです。

 とても胸を張って「小説家です!!」と言える人間ではないのですが、そんな私だからこそ書けるアドバイスもあるのではないかと思い、こうしてお便りを送らせていただきます。

 テーマは『ポイントが低くてもチャンスがある。自分のペースで小説を書こう』

 これで行きたいと思います。


 さて、早速ですが。

 皆様は小説を書いていますか?
『小説家になろう』に小説を投稿していますか?

 書いている方は、自分のペースで続けて頂ければと思います。
 書いていない方は、書きましょう!!


『ポイントが低くても、書籍化のチャンスはありますよ!!』

『書籍化すれば、憧れの作家先生方とゆっくり小説談義が出来ますよ!!』


 この2つは声を大にして言えます。

「書籍化」「プロと小説談義」したくないですか??

「いやー、昨日、作家の飲み会参加してさー。やっぱプロは面白いな!!」

 自慢げにそう言いたくはないですか??

『小説家になろう』であれば、そのチャンスが転がっています。
 ある日突然、書籍化の切符が手に入ることがあるのです。


 毎日更新? ランキング上位? 流行を読み取る能力??

 あるなら良しですが、なくても大丈夫です。


 私のデビュー作となります『なんか、妹の部屋にダンジョンが出来たんですが』
 書籍化のお話を貰ったのは、800ポイント、8万文字の時でした。

 ポイントは底辺。文字数は、本一冊分にも届いておりません。

 更新は月・水・金。
 ジャンル別の下の方ならまだしも、総合ラインキングなんて入ったことがありません。

 それでも、面白い、の一言で書籍化のお話を貰えました。

 担当編集様「私が面白いと思ったので声をかけました。妹がポイントなのかもしれません」

 そんな感じです。

 出版社様のホームページで発表していただいた時でさえ、1200ポイントでした。


 夜中1時まで小説談義を繰り広げた先生の中には、生まれて初めて小説を書いて書籍化した人もいます。
 ちなみに、重版に次ぐ、重版で、売れに売れています。


 更新は毎週日曜日の1回。
 それで書籍化している先生もいます。


『週に1回。二千文字』


 まずはそこから試してください。

 もちろん更新頻度は多い方がいいですし、ポイントも取れた方がいいです。

 ですが、趣味の範囲。それこそ宝くじを買うような感覚で、小説を投稿してみても良いのではないでしょうか??


 今週は疲れたから書くのやめよ。
 飲み会行くから、更新いいかな。


 私は、ありだと思います。


 小説は趣味。いまの生活の空き時間で、出来る範囲でやる。
 空き時間に書いてたら読者様から感想を貰った。うれしくなったからもう1話書こう。

 そんな書き方もありだと思いますよ?

 私のように、たまたま編集者様の目にとまって、書籍化のお話が来るかもしれません。
 ですが、投稿しない限りは、可能性ゼロですからね。


『空き時間に少しだけ書いてみる。投稿してみる』


 それが良いと思いますよ。

 少しだけ本質から外れますが、私の書き続けるコツは投稿することです。

 発表の場所があるから続けられる。
 1人でも読んでくれるから続けられる。

 とりあえず1話をアップしてみる。
 気が付けば2話目を書いている自分がいますよ。


 恥ずかしい?
 いいんですよ、趣味なので。堂々と「素人だからな!!」って言ってやりましょう。

 時間がない?
 時間があるときでいいじゃないですか。無理はしない。

 続きが書けないかもしれない?
 次の作品、行っちゃいましょう。また書きたくなったら書いたらいいですよ。



『とりあえず書いてみる。2000文字くらい貯まったら、軽い気持ちで投稿してみる』



 気が付けば、書籍化作家様とゆっくり話せる人生が待っているかもしれませんよ??
 本気で書籍化を目指している自分がいるかもしれません。


 まずは、1文字目をはじめてみましょう。


 最後に宣伝を……。


『なんか、妹の部屋にダンジョンが出来たんですが』
 出版社・アーススターノベル(泰文堂)

 8月17日発売となります。



 ダンジョンが浸透した現代日本。

「お兄ちゃん、ダンジョン行こー」

 無邪気に微笑む妹に連れられて、高校生の兄妹がダンジョンに入っていく。

 青春を歩む高校生たちが、部活気分でダンジョンに入る。そんな物語。



『妹が可愛い!!』
『幼なじみが可愛い!!』

 書店で見かけた際には、カスカベアキラ先生のイラストだけでも眺めて頂ければと思います。
 本当に可愛く描いてくださいました。

 特集ページには試し読みもあります。
(http://www.es-novel.jp/newbooks/#imoutodungeon01)

 カスカベアキラ先生のイラストが、7枚も見れてしまう!!

 よろしくお願いします。

【お便りコーナー】第48回: 初枝れんげ先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である初枝れんげ先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、初枝れんげ先生よりご連絡いただきました文面となります。



いつもお世話になっております。
小説家になろう様で「異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件」http://ncode.syosetu.com/n9759dd/ を連載させて頂いている、初枝れんげです。

8月10日に拙作が出版されることになりましたので、わたしごときが僭越ですが、新人の方へ、どうすれば書籍化できるかについてアドバイスをさせて頂きたいと思いまして、掲載の機会を頂きました。

なにせわたしごときが出版の機会を得ることが出来ましたので、他の方に出来ないはずがありません。

ではそんなわたしごときがどのように作品を作ったか、お話するとしましょう。

まず、一番大事なことを書きます。それは『小説を書く時間を確保すること』です。他のことは些事にすぎません!

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

おいおい、ふざけんじゃねえよ、それのどこが大事なことなんだよ! と叫ばれた方はまったく正しいと思いますが、少し座ってください。

つまりこういうことなんです。

小説を書く才能とは何か?

小説家の資質とは何か?

これはもう言うまでもなく、書き続けられるかどうか、という1点に尽きます。

連載されている方の中には社会人も多いと思います。学生もいるでしょう。仕事や勉強が終わって疲れて果てて帰って来て……、さあ!ここです!

ここでゲームをしたり、漫画を読んでしまってはいけません。ここで2時間、小説を書きましょう! それだけです!

もちろん、プロットを組むでも、キャラクターの設定を練るでも、もしくは、今まで書いた小説を推敲しても良いです。ともかく「執筆」という試練(あるいは我々に与えられた命題)と向き合いましょう。

書かない日が1日でもあってはいけません。※やむを得ない事情は除く。
そのロスした1日分(2時間)を翌日取り返すことは不可能だからです。平日に4時間も執筆することは概ね不可能であり、たとえ出来たとしても、そんなことを何度も繰り返すことは出来ません。きっとつらくなって、じきに書かなくなるでしょう。

我々は小説を書くのだから、長い長い遊泳が必要です。10万字(1巻分)を書くには無理のないスケジューリングが必要となります。時に1か月、時に半年、時に1年かかる遊泳です。それは短時間の集中を毎日繰り返す(ストレスフリー)、という行為以外に達成する術はありません。

ですので、わたしが皆さんに執筆にあたって唯一アドバイスできる点、何よりもわたしが大事に思っている点は次のことです。

つまり、『時間を確保する方法を自分の中で確立してください』ということ。

これさえできれば何年かはかかるかもしれませんが、小説は書けたも同然です。

ちなみにわたしは仕事柄、手帳に書いたスケジュールは強迫観念で絶対に順守します。守れないときはこまめに手帳のスケジュールを再調整するくらいです。なので、私の手帳には必ず毎日「執筆」の文字が2時間踊っています。

皆さんにとって、自分をコントロールできる方法を探してください。これが書籍化への最大の近道だと、わたしは思います。

駄文、迷文でアドバイスになっているか不安ですが、何の才能もない私が書籍化できた唯一の勝因と思っている点を書きました。よろしければご参考にしてください。

あと、最後に少しだけ。

「異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件」第1巻、TOブックス様より8月10日発売。Web版とは大きく変化した書下ろしストーリーをお楽しみに!

主人公のマサツグ君も大活躍するぞ!

【お便りコーナー】第47回: 舛本つたな先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である舛本つたな先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、舛本つたな先生よりご連絡いただきました文面となります。



 初めまして、主婦の友社さまのプライムノベルスから『遺伝子コンプレックス』を出版させて頂きました、舛本つたな、です。
 実は、私はこのお便りコーナーをいつも楽しみにしていた人間です。
 万が一、億が一、自分の小説が書籍化したら、お便りコーナーに寄稿してみたい、と妄想しながら書籍化作家さんの云々何それを読んでいました。この度、何を間違ったのか書籍化してしまったので、夢が醒めない内に夢を叶えてしまおう、と書かせて頂いた次第です。

 さて、私からアドバイス的な何かを……と考えた結果、
『書籍化して、調子に乗った私がやった恥ずかしいこと』
 なんて、どうでしょう。最高だな! 自分の身を切り刻んで肴にする。お酒が美味しい! ビールを買ってこよう!

 ……では、こんなノリで、私の初めての打ち合わせを紹介しようと思います。

=========
 今から、二週間前。
 小説家になろうの運営からメールがあって、出版社から書籍化打診の連絡があったことを知らされた時はビックリした。(悪戯などを避けるために、運営を経由して連絡するのが通常らしい)
 私はとても浮かれた。浮かれすぎて、もはや一種の錯乱状態になっていた。
 電車の中で不気味な含み笑いをこぼすくらい混乱し、ひとしきり浮ついた後に友人にLINEをしまくった。私は書籍化するのだと、小説家になるのだと、手当たり次第、友だちに自慢しまくった。

「すごーい」
「っていうか、小説なんて書いてたの? Web投稿? え、ライトノベル? ライトノベルってなに?」
「……へぇ〜、そ、そうなんだ。あの、萌えってやつ? え〜と、アニメとか、そういうのかな?」
「そんなの書いてたんだ……」
「えっ。よ、読むよ。発売されたら教えて。それじゃあ」

 友人の反応は歯切れが悪かった。
 既読スルーされることも多かった。
 自分が今まで隠してきたWeb小説の執筆という趣味、加えていささかサブカルに偏ったジャンルを好んでいたという事が盛大にバレてしまい。友人達はそれに対する適切な反応が分からなかったのだ。
 その事に思い至り、私は冷や水を浴びたように後悔をした。

 私は実感する。

 人は何かを得るためには、何かを代償としなければならない。今、私は親しくしていた友人に何かをさらけ出し、何かを失い、それでも書籍化という夢を手に入れた。
 もし、これから書籍化する人がいたら気をつけて欲しい。書籍化の連絡が来ても、友人に話すはよく考えてからにすべきだ。オタクに友人は少なく、貴重なのだから……。

 私は、友人の大切さと、友人とはいえ自分の全てを受け止めてくれるわけではない事を痛感した。その後、まるで群れからはぐれて飢えた狼のごとく、同じ価値観をもつオタクを探し求めた。
 リア充たちは、ウェイウェイ、と奇声を上げ、夜の街でハントしたガールとアバンチュールした数を仲間に誇る。それとまったく同じで、私もオタクの仲間を探し出して、書籍化したのだと自慢してやりたかった。
 せめて、オタクの神に、私はなりたかった。
 私はさっそく秋葉原にくり出した。仲間はそこにいるはずだった。この秋葉原の街でハントしたオタクに書籍化を自慢をして、ウェイウェイするつもりだった。
 街行く人々をじっと見る。
 ああ、ここには「ライトノベルなんて書いているの? ウケる〜」なんて内心で馬鹿にする人はいない。いい街だ。普段はAmazonばかりで、滅多に来なくなったが、ここはいい街だ。出版されたらまたここに戻ってこよう。アニメイトで30冊くらい買って、道ばたで配ろう。あ、そうだ。サイン考えておかなくちゃ。

 さて、誰に自慢してやろうか……。

 では、早速と、「あの、」と道行く人に声をかけても、誰も止まってくれない。「ちょっと」「ねぇ」などと、ボキャブラリー多彩に呼びかけを工夫してみたが、全然だった。
 みんな、メイド喫茶の呼び込みには足を止めるのに……。

 私は、実感した。
 書籍化しても、コミュニケーション能力がなければオタクの神にはなれない。ましてや、ウェイウェイなんて出来るはずもないのだ。

 家に帰った私の欲求不満は凄まじかった。
 書籍化を誰かに褒めてもらいたかった。すごい、すごい、と言ってチヤホヤして欲しかった。可能であれば、一緒にウェイウェイ言いたかった。
 私に残されたのは、両親だった。
 親しかもうないと思った。実際、他にはもう誰もいなかった。そう言えば、書籍化した本作も『親子』をテーマにして書いたものだ。これは、何か運命的なものを感じる。

 早速、親に電話をかける。

「もしもし、お母さん?」
「はいはい。どうしたのよ、急に電話かけてきて」
「あの、私ね。小説家になったの。……ライトノベルのだけど」
「はぁ!? なんね。本当?」
「う、うん。ライト、ノベルだけど」
「すごいやん。すごいすごい! 読むわー。絶対読むわー」

 ——これだ

 私が欲しかったのはこれだった。そうか、私は親に褒めてもらいたかったんだ。子どもだった時みたいに、親に褒めてもらいたかっただけなんだ。

「ところで、らいとのべる、ってなんね?」

 私は少し哲学的な気持ちになった。ライトノベルってなんだろう?

「どうした? らいとのべる、ってなんなんね?」
「えーと、何というか軽い小説、って感じの」
「はぁ」
「イラストとか……、アニメみたいな挿絵とかがついている感じの」
「はい? よう分からんわ」
「でも! 異世界チーレムとかじゃないから!」
「異世界ちーれむ? ねぇ、その異世界ちーれむってなんなんよ。教えて」

 私は愕然とした。
 考えてみたら当たり前だった。親が異世界チーレムなんて知っているはずがない。それは、私が日本を代表する名女優である吉永小百合を知らないのと同様に、母も日本を代表してしまっている小説形式、異世界チーレムを知らないのは当然なのだ。

 私は実感した。
 いつまでも親に甘えていたらダメだ。自分の承認欲求を、いつまでも親にお願いしていたらダメだ。私はもう、大人なんだから。
 さもないと、私みたいになる。母親に対して、異世界で、チートで、ハーレムな小説の内容について、必死になって説明しないといけなくなる。

 だから、みなさん。
 書籍化しても、周囲への報告は落ち着いて冷静にしてください。
========

 ……と、言うわけでWeb版『僕は、お父さんだから』を改めまして、書籍版『遺伝子コンプレックス』は、2017年6月21日にプライムノベルスから発売になります。現時点でもAmazonさんで予約できます。
 もともとは10万字程度の話を、調子にのった私が19万字まで拡大して、編集が印刷原価を計算して青ざめた本作。もしよろしければ買ってやってください。買わない人もWeb版の『僕は、お父さんだから(http://ncode.syosetu.com/n0586cp/)』を読んでやってください。
 それでは、またいつか。
 長文、失礼いたしました。


舛本つたな

【お便りコーナー】第46回: Swind先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるSwind先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、Swind先生よりご連絡いただきました文面となります。



Swindと書いてスインドと申します。こちらには二度目の寄稿となります。
 
はじめましての方ははじめまして!
そうでない方は、いつもご笑読頂きましてありがとうございます。

さて本日は、拙作『異世界駅舎の喫茶店 ( http://ncode.syosetu.com/n2046cp/ ) 』の小説書籍版続巻が宝島様より5月25日に、そしてコミックス版がKADOKAWA様より5月22日に刊行させて頂くこととなりましたので、筆をとらせていただきました。

初巻の発売から8ヶ月あまりと少し時間がかかってしまいましたが、こうして皆様に再びご挨拶ができることを嬉しく思っております。

さて、上述の通り、拙作『異世界駅舎の喫茶店』につきましては今回幸運にもコミカライズの機会を頂くことができました。
そこで、コミカライズ作業を通じて感じたことを、僭越ながら皆様にお伝えさせていただければと存じます。

コミカライズの作業を通じて最初に強く感じたのは『小説』と『漫画』では魅せ方が全く異なるということです。

『小説』は、舞台や主人公の内面、動作など物語のあらゆる部分を『会話』と『地の文』という二つの文章で描写されます。
人称や書き方など様々な形はありますが、地の文で舞台の情景や登場人物の心理などを細かく描写していくこととなります。

一方、『漫画』には『地の文』がありません。その代りに舞台情景やキャラクターの個性は『コマ割り(構成)』『絵』を通じて描いていくことになります。
モノローグ的に文字として描写することもありますが、それもあくまで補助的なものです。
また、会話で使える文字数も小説より格段に少なく、短い言葉でどんどん話しが進んでいく形になります。

この違いは想像以上に大きく、『漫画として面白い』作品にするためには、話しの流れを変えたり、時には大きくカットしていくことも必要になります。

一方で、やはり物語としての『芯』の部分は削れません。
作品全体として描きたい主題の部分はもちろんなのですが、私の場合、キャラクターの行動やセリフ回しについては特に気を使っていただきました。
拙作の場合、コミカライズを担当いただいた神名ゆゆ先生や担当編集様とも細かく刷り合せを勧められたということもあって、本当に良い形で仕立てて頂いたと思っております。

そしてもう一つ。

コミカライズに当たってご苦労をかけたのが、舞台の『絵』として設定です。
例えば拙作で言えば、駅舎やホーム、喫茶店『ツバメ』の内部がどうなっているのか?
蒸気機関車は具体的にどんなイメージのものなのか?
主人公たちが載っていたのはどんな列車なのか?
料理はどのような感じなのか? 存在していいものは、ダメなものは? 使われている文字は?

……などなど、細かく決めていかなければならないことがたくさんありました。

特に建物の構造(部屋割りや内装外観など)は、小説では割とアバウトでも許される部分ではありますが、コミカライズとなると背景描写を矛盾なく行うためには相当細かな設定が必要となります。
正直申しまして、この辺りはコミカライズ作業を通じて、設定がどんどんしっかりと煮詰めることができました。これは神名ゆゆ先生に大感謝です!

ただ、小説を書く段階でどこまで細かな設定が必要かといえば、そこは作品次第といったところでしょう。もしコミカライズを目指すとしても、まずは『小説として楽しい作品』をしっかりと描くことが優先されると存じます。”執筆時間に余裕のある時”に妄想するのはきっと楽しいですけどね(笑)

さて、最後に宣伝など。

冒頭にもあります通り、小説書籍版の続編となります『異世界駅舎の喫茶店 小さな魔女と記憶のタルト』が2017/5/25に宝島社様単行本として刊行となります。
今回もWeb版から大幅に改稿して書き下ろしも追加、前回同様『書き下ろしレシピ』も掲載しております。
今回はなんと『ミスター味っ子』や『将太の寿司』などでおなじみの料理漫画界のレジェンド、寺沢大介先生に推薦の言葉を頂くことができました。本当に感激です!
もちろん、pon-marsh 様の素敵なイラストも必見です!

そして、コミックス版『異世界駅舎の喫茶店 1』もKADOKAWA様より刊行となります。
発売日は2017/5/22、MFCレーベル、こちらは『異世界居酒屋「のぶ」』からしのぶさんの応援メッセージを頂くことができました!
神名ゆゆ先生の漫画による、小説版とはまた違った楽しい『ツバメ』の雰囲気を味わって頂けるかと存じます。漫画版では名古屋ネタも結構突っ込んでいます(笑)
ComicWalker / ニコニコ静画の『異世界コミック』コーナーにて引き続き連載されますので、どうぞこちらも合わせてご覧いただければ幸いです

第5回ネット小説大賞も間もなく最終審査結果が発表されるとのこと。
今年もたくさんの作品が新たに書籍化になり、きっとこの中からコミカライズされる作品も生まれるでしょう(そういえばコミカライズ賞もありますね!)
そんな新しい作品たちに負けないよう、そしてこれから書籍化・コミカライズを目指される皆様に夢と希望を持っていただけるよう精いっぱい頑張って取り組んでまいります。

最後に。

本当に多くの方との『縁』に恵まれまして、こうして無事に続巻を発刊することができ、そしてコミックスも刊行することができました。
それもひとえに読者の皆様が応援頂いたからだと思っております。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。

書籍版もコミック版も、もちろんWeb版もぜひご笑読いただきまして、そしてたくさんお腹が空いていただけましたら幸いです。

2017年のいちばん良い季節のある日 Swind