【お便りコーナー】第57回: 高井うしお先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である高井うしお先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、高井うしお先生よりご連絡いただきました文面となります。



 初めまして、高井うしおと申します。小説家になろう様で『金の星亭』繁盛記~異世界の宿屋に転生しました~(https://ncode.syosetu.com/n8313dv/)を連載させていただいております。

 こちらの作品は2017年12月に書籍化いたしました。本当はそのタイミングで、お便りを出したい気持ちもあったのですが……。私自身、この作品が小説をはじめて書いた……いわゆる処女作である為に、皆様にアドバイスをとなるとどうもおこがましい気持ちになってしまい控えておりました。

 そんな私が、なぜ今回こうして筆をとっているかと言いますと……書籍化してからこんな私めなんかに相談をいただく事が少なからずあったからです。

「書籍化したいのですが、どうしたらできますか」
「おもしろいものを書くにはどうしたらいいですか」

 その際に私は……ろくにアドバイス出来ませんでした。何度かその際にお答えしている事ですが、書籍化ってゴールではないんです。これ、スタートでしかないのです。やる事なんて正々堂々自分を削って書いていく事……それ位です。そしてその為の方法なんて私は知りません。ただ、書籍化がゴールだって思っていたら無理かもね、ってくらい。

 待って! 帰らないで! ステイステイ。一応、なんでアドバイスできないのかなーと考えたので少し聞いていってください。
 アドバイスとは自分の理論や方法論を伝える行為じゃないかと私は思っています。最初、私は分析や研究をするタイプではなく野生の感で書いているから、こういった事はできないのだ、と思いました。

 けれど、どーもしっくりきません。野生の作家はいます。確実にいます。けど、それと私はどうも違う。読まれる為に、面白いストーリーの為に頭をひねってウンウン言いながらえっちらおっちら書いている私はどうもそういうタイプじゃない。ただ、それが良い物かダメな物かはなんとなく匂いで分かる。……半……野良かしら……。

 そこまで考えて、ふっと思い出したのです。他の作家さんと決定的に違う自分の特性を。実は私、元役者なのです。執筆歴は1年ちょっとですが、演劇畑で25年ほど創作活動をしておりました。(大学の専攻もソレ関係です)
 ですから、本当に物心ついたときから私は創作活動をしていたのです。それが私のベースになっております。

 ありがたい事に「会話が魅力的」という評価をいただいたりしているのもコレが大きな原因だと思うのです。言語化できないはずです。もうすっかり私の生活に、人生に癒着して一体となっている肉体言語のようなものなのですから。

 それを踏まえて、今一度……アドバイスをするのなら。

「うだうだ言ってねーで、外にでろ!」

 です。待って! 帰らないで! ステイステイ。行くのはコンビニでいいです。そこで店内を見渡してください。商品を選んでいる人の様子は? レジの店員さんの考えている事はなんだろう。新商品のプリンの売りはなんだろう。コンビニに行くだけで読み取れる事って満載なんです。

 日々是全てがネタだと思って過ごしてください。見た事のないものをひとつでも多く見てください。話した事のない人と話して見てください。アンテナを立てて、日々を過ごしてください。書籍化するかは分かりませんが、面白い物が書ける可能性はこれでぐっと上がると私は考えています。

 小説……物語は、それが神でも草でも仮の人格を与えられたものたちの紡ぐものだと思います。だから人間を否定してその受け入れる器官を鈍化させたものに魅力があるでしょうか。中には孤独の中で、熟成されたものをすさまじい輝きで世に放つ方もいます。ですが……そこまで割り切れますかね?

 あと、この方法のいいところはですね、小説家にならなくて、サラリーマンでも公務員でもタクシー運転手でも看護師でも宇宙飛行士でもなんになったって損にはならないってところです。やったね!

 せっかくの創作活動です。くるしー! と言いながらも楽しんで行きたいではありませんか。その創作活動はあなたの人生を彩り豊かなものにしてくれる、私はそう信じています。



 最後に。
 そんな感じで書いた『金の星亭』繁盛記~異世界の宿屋に転生しました~2巻がカドカワBOOKSより4月10日発売されます。
 1巻よりもぐっとキャラクターも増えて、私の(多分)得意とする会話の織りなす人間模様がたっぷりつまっているかと思います。何卒よろしくお願いいたします。

【お便りコーナー】第56回: 初枝れんげ先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である初枝れんげ先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、初枝れんげ先生よりご連絡いただきました文面となります。



いつもお世話になっております。
小説家になろう様で「異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件」http://ncode.syosetu.com/n9759dd/ を連載させて頂いている、初枝れんげです。

2月10日に第2巻が無事出版される運びとなりましたので、この場を借りて皆様にはお礼申し上げますとともに、わたしごときが僭越ですが、新人の方へ、どうすれば書籍化できるかについてアドバイスをさせて頂きたいと思い、筆をとらせて頂きました。

前回も1度ここで掲載させて頂いた時は、要するに「自分なりに時間を確保する術を身につけて下さいね」という身もふたもない意見を書いてしまいました。

ですが、よく考えてみれば、新人の方の中には、書きたいのにそもそも筆が動ない、であるとか、キャラクターが書けない、といった類の悩みをお持ちの方も多数いらっしゃるのではないかと思い当たりました。

これは私の不徳の致すところ。

今回はそのあたりについてお話できればと考えています。

さて、書きたいけれど書けない。

分かります。私も十年くらい全然筆が動きませんでした。書きたいけど書けない。つらいところだと思います。

これを解決する手段は大きく2つあると思っています。間違っているかもしれませんが、その時は忘れて下さい。有益な情報だけ、獲得してくださればよいと思います。

まず一つ目。キャラクターを先に作る、ということです。

特にライトノベルというのはキャラクター小説と言われるくらいで、キャラありき、みたいなところがあります。

いきなりオリジナルはつらいかもしれません。そんな時は好きな漫画とか映画とかアニメとかドラマとか、なんでもいいです。何でもいいので、そのキャラクターたちをイメージの中で動かしてください。2人以上、用意して、実際に会話をさせてみてください。

どうでしょうか? 何か始まりませんかね? 喧嘩したり、丁々発止のやりとりをしたり、なぜか意気投合したりするでしょう? しなかったらごめんなさい。

でも、キャラクターはそういうものなんです。そう、キャラクターは勝手に動いて、勝手にストーリーをつむいでくれます。作家の都合なんておかまいなしに。ともかくいう事をきいてくれません! そして、そこから、ストーリーとかプロットとか、そういったものが着想されていきます。それをつなげていけば、小説になるのです。

それが一つ目。キャラクターから物語を構築する方法でございます。オリジナルのキャラクターが出来て勝手に動き始めたら、それは小説の赤ちゃんが産声を上げ始めたと思って差し支えありません!

さて、二つ目。それはプロットから先に作る方法。

プロットなしでババーンといきなり書いちゃえる天才が世の中にはおります。実在します。でも、それはごくわずかっぽく、私も残念ながら天才ではありません。プロットを作って、地道にストーリーを肉付けていきます。

邪魔くさがってプロットを作らなかったり、何となく曖昧な感じにしてしまっている方は、書こうと思ってもその部分で混迷してしまって、筆が止まってしまう。そういう事態に陥りがちです。プロットはストーリーの点であり、そしてその点は「魅力的」でなくてはいけないと私は考えております。退屈な点がないよう細心の注意を払いながら、点を構築する。そうすれば、あとはその点を線でつないでいけば、あら不思議、魅力的な物語=小説になるのですっ‼

…と、以上、偉そうに申し上げました。

いかがでしょうか? 読み返してみると当たり前のことしか言ってません。

ですが、この当たり前が出来るようになると、きっと執筆が軽快に、軽やかに、楽しくできること請け合いです!

ぜひ、幸福な執筆ライフを。死ぬまで出来る稀有な趣味ですからね!



あと、最後に少しだけ。

「異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件」第2巻、TOブックス様より2月10日発売。Web版とは大きく変化した書下ろしストーリーをお楽しみに!

主人公のマサツグ君はもちろん、永遠のライバル・ミヤモト君も大活躍するぞ!

【お便りコーナー】第55回: 青猫 草々先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である青猫 草々先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、青猫 草々先生よりご連絡いただきました文面となります。



 「小説家になろう」というサイトがあります。

 仮にこのサイトの名前が、「小説家になりなさい!」だったらどうでしょうか?
 何だか、無駄に偉そうです。
 小学生の頃、母親によく言われた「宿題やりなさい!」に通じるものがありますね。
 これでは、

「うるさいなあ。今からなろうと思ってたんだよ。そんなこと言うから、なる気が無くなっちゃったじゃないか」

 という事態を招きかねません。

 あるいは「建築家になろう」というサイト名だったら?
 一見、悪くなさそうです。活用する価値アリかもしれません。
 きっと志を同じくする人々が集っていて、デザインや図面を上げると助言や批評をくれるのでしょう。

 しかし、そこで切磋琢磨し腕を上げいい感じに馴染んできたころ、あなたはふと気付くのです。
 もしかして、ここに居ても小説家にはなれないのでは? と。
 何と巧妙なトラップ。油断も隙もあったものではない。

 そう考えると「小説家になろう」という名称は、偉そうでもなく押しつけがましくもなく、また建築家ではなくちゃんと小説家の道へと誘ってくれる、サイトの趣旨を適切に表現したものではないでしょうか。

 ――どうも、はじめまして。青猫草々と申します。
 まずは少しだけ、自分語りにお付き合いください。

 そのとき私は、大変貧乏、かつ時間だけは大量にあるという立場でした。
(あ、ちなみに学生ではなくいい年の大人ですよ。ヒントはノージョブ)

 ありていに言って暇を持て余していたというか、持て余した暇を将来の不安に怯え布団の中でガクブルすることに全ぶっ込みしているような有様だったため、こりゃいかんと何か生産的な活動を始めることにしたのです。

 そこで思いついたのが小説の執筆。
 昔から本を読むのは好きだったので、この機会に何か書き上げてアマチュア作家を気取ってみるのも悪くなかろう、ふふん、と考えたわけです。
 いえ悪くなかろうも何も、部屋に転がってぶるぶる振動してるだけの排泄物製造器より悪いものなど世の中にはそうそうないのですけどね。

 このように元を正せば自分のために始めた活動だったわけですが、いざ書いてみると誰かに読ませたくなるのが人情というもの。
 そこで私は、どこかの小説投稿サイトにアップしてみようと思ったのでした。
 なお「友達でいいんじゃ?」などという疑問は今すぐ忘れてください。悲劇が浮き彫りになりますから。

 さて、創作というのは価値観や思想、感性など、己の全てを作品に込める行為です。
 それを公開することは、しばしば自分の裸をさらすことにたとえられますね。

 当時、私はなにもかも未経験の、初心なおっさんでした。
 自分のあれやこれやが全て衆目にさらされると考えると、それだけで頬が熱くなってしまう恥ずかしがりやのおっさんでした。

 しかし弱気を克服しないと、いつまで経っても前に進めないおっさんのまま。
 私は覚悟を決めます。
 どうせなら! できるだけ大勢に! 俺の裸を! 堂々と! 見せつけてやる!

 であれば、その場所は慎重に選ばなければなりません。
 一糸まとわぬ私のすべてを、もっとも効果的に解放できる舞台はどこだろう?
 そうして辿り着いたのが、このサイト「小説家になろう」でした。

 さっそく私は自分をさらすことにしました。
 私の私自身をあらわにし、惜しげもなく見せつけました。
 幸いなことにそれは多くの人の目に触れ、多くの声をいただくことになりました。

「な、なんて見事なブツなんだ……ボクの中に何度も激しく刺さったよ」(注:作品の感想です)

 という行為的、じゃない好意的なものもあれば、

「テクがない。雑で乱暴ね。イタいだけだわ」(注:作品の感想です)

 とか、

「貧弱で粗末(文才が)。入れるのをためらうくらい(ポイントを)」

 という辛辣なものもあったと記憶しています。
 いずれにしろダイレクトな反応が目に見えるというのは私にとって大きな刺激で、それはまさに未知の快感とも呼ぶべきものでした。

 ところで。
 小説作品には必ず書き手と読み手が存在します。
 双方いないと文化として成立しえず、どちらが偉いというものでもないのですが、数から言えば書き手の方が少ないでしょう。

 ここで私は、読み手側の経験しかない方に対し、えいやと裸になって境界線を飛び越えてしまうことを提案します。
 そこにはきっと、お話を読むのとはまた違った楽しさがあるからです。

 「小説家になろう」というサイトは、その名前が示す通り気軽に書き手となって作品を発表できるシステムになっています。
 せっかくここを訪れたのですから、最大限に楽しまないのはもったいない話だと思うのですね。

 ええ、つまるところ創作のススメなのでした。
 皆さんも、まずはお気軽に最初の一歩を踏み出してみてはいかがですか?
 裸になるのはなかなか勇気が必要ですが、やみつきになるような開放感が味わえることうけあいです。

 そして、もう一つ。
 もしそういう勇気ある姿を目にしたなら、読み手の皆さんはぜひ積極的に「すごくおおきい!(志が)」「なんて立派なんだ!(度胸が)」と伝えてあげてください。
 作者は大いに悦び大いに興奮し、さらにむくむくと天にも届く勢いで膨れあがらせるに違いないのです(執筆意欲を)。

 そういう私が全てをさらけだした作品はこちら。

「押しかけ犬耳奴隷が、ニートな大英雄のお世話をするようです。」
なろう連載版
https://ncode.syosetu.com/n4513dn/
書籍版特設ページ
http://over-lap.co.jp/narou/865542387/

 1/25に2巻が発売されます。
 気が向いたら、目を通していただければ幸いです。

 それでは、よいなろうライフを。

【お便りコーナー】第54回: 鬼ノ城ミヤ先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である鬼ノ城ミヤ先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、鬼ノ城ミヤ先生よりご連絡いただきました文面となります。



 初めましての皆様は初めまして、お馴染みの方はこんにちは。
 鬼ノ城ミヤと申します。「おにのみや」ではなく「きのじょう」です、よろしくお願いいたします。

 今回は、私のようなおっさんがどんな道程をたどって今にいたったのかについて書かせていただこうと思います。

 もともと小説といいますか、物語が大好きだった鬼ノ城は中学生時代から小説を読みあさっていました。菊地秀行先生・夢枕獏先生・半村良先生・笹本祐一先生あたりは人生の師匠と言っても過言ではありません。

 この時期に暇さえあれば本を読んでいたことが、今の自分の財産になっています。

 高校生になり、自分でも小説を書き始めた私は雑誌社の小説大賞に応募するようになりました。
 今のようにパソコンなんてありません。
 ワープロが普及したのも、もう少しあとの時代です。

 その時代は、すべて原稿用紙でした。

 400字詰原稿用紙に鉛筆で書き殴っていき、それを改めて清書していきます。
 今のように、パソコンのワープロソフトなんかでちゃちゃっと打ててしまう時代とは雲泥の差でしたけど、当時はそれが当たり前でしたし、そうやって原稿用紙に清書しながら自分の脳内で物語を展開していくのがこの上なく楽しかったんですよね。

 その時代に1度受賞し出版化の話があったのですが、諸般の事情によりその当時はデビューすることは出来ませんでした。
 
 それでも小説家の夢を諦めることが出来なかった私は、新たな話を作成するためにこの頃から物語の設定を大学ノートに書きまくりました。
 その当時は、ファンタジー作品はマイナーな分野でして、SFの一分野として扱われていました。それでも創元推理文庫から刊行されたスーパーアドベンチャーゲームブック『スティーブンジャクソンのソーサリーシリーズ』や、角川スニーカーG文庫のガープス、富士見ドラゴンブックのシナリオ集などを夢中になって貪り読んでいたものです。
 そうやって得た知識を元に、様々なファンタジー世界を自分の中で構築していきました。ワールド・オブ・パルマの世界もこの時期に原型を構築した次第です。

 その後、PBMのライターとして活動をしていた時期を経た私は、程なくいたしまして生活の変化などがあり、そのため10年近く執筆から離れていた時期がありました。

 ですが、そういった諸般の事情が一段落したところで、また書いてみたいと思うようになった次第なんです。

 そういった経緯を経て「小説家になろう」にたどり着いた私は、温め続けていた作品達を執筆し発表しはじめました。

 この小説家になろうの一番の利点は、すぐに反応がもらえるところです。

 その当時流行していたなろう発のラノベを十数冊購入して勉強した上で執筆を始めた私ですが、その当時はドキドキの連続でした。
 ですが、いろいろな感想を頂けるようになり、それが励みになってどんどん執筆する意欲がわいていった次第です。

 これは、学生時代の私が、原稿用紙に一人で向かっていた時期ではありえないことでした。

 ただ、そうやって一人で頑張っていた時代があったからこそ、今の自分があると(少しだけ)胸を張って言えるかなって思っていたりします。

 書くことは無駄ではないし、何歳になっても書くことは楽しい。
 
 私のように、学生時代に本に夢中になり小説家を夢見たことがある人って、それなりにいるんじゃないかって思います。
 でも、おっさんになりますといろんなしがらみにがんじがらめにされてしまい、そのまま諦めている方も多いんじゃないかなって思います。

 そんな皆さんに声を大にしてお伝えしたい。
 
 こんな私でもやれば出来ました。さぁ、皆さんもご一緒に!

 夢を夢のまま終わらせるかどうかは、自分次第だと思います。
 これは、同年代のおっさんだけでなく、今の若い世代の皆さんにも通じる言葉だと思います。

 皆さんと一緒にこれからも楽しく執筆を続けていきたいと思っております。

 これからもよろしくお願いいたします。

 僭越ながら……
 そんな私の最新刊『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』の4巻がまもなく発売になります。何卒よろしくお願いいたします。

【お便りコーナー】第53回: 槻影先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である槻影先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、槻影先生よりご連絡いただきました文面となります。



 初めまして。いつも駄目な感じの作品を投稿させていただいております、槻影です。

 この度、拙作、アビス・コーリング(https://ncode.syosetu.com/n9040eb/)が書籍化の運びとなりましたので、記念に筆を取らせていただきました。

 突然ですが、ホームに記載されている数字によると、現在の『小説家になろう』の登録者数はおよそ115万人です。私のIDは27455、前に三万人弱の登録者がいますが、全体数を考えれば古株の方だと言えるでしょう。

 私が初めて『小説家になろう』に登録して小説を投稿し始めたのは2008年……大体十年くらい前のことでした。
 今でこそ『小説家になろう』からは多数の作品が書籍として出版され、本当に小説家を多数排出するサイトになっていますが、私が登録した当時は書籍化作品などもほとんどなく、私が投稿を始めたきっかけもただの趣味でした。(小説家志望でもありませんでした)

 ネットに小説を投稿するメリットの一つは読者さんの感想を貰えることだと、私は思っています。
 新人賞に出して作家になるなど確固たる目標があるのならばともかく、誰も読まない小説を黙々書き続けることはモチベーション的な面でも難しいことです。リアルの友達や家族に見せるのも気恥ずかしいでしょう。

 私がサイトに投稿を始めたのも小説を書きたくて、でも知り合いには見せたくなくて、Webに載せればもしかして誰かが読んでくれてあわよくば感想をもらえるのではないか、という、とても都合のいい考え思いを抱いたからです。
 それ以来、十年間、休んだり長期更新停止したりエタ作を非表示にしながら今も投稿を続けています。

 私は内向的な人間です。紙の本が出るまで、知り合いも友達も家族も、誰も私が小説を書いていることを知りませんでした。
 そんな人間でも孤独を感じることなく小説を投稿できること。それこそがネット投稿の大きなメリットです。メリットです!

 これを読んでいる方々の多くは小説を書くことに興味がある人だと思います。
 とりあえず書きましょう。投稿しましょう。恥ずかしくないです。誰にもそのことを言う必要もありません。飽きたらやめてもオッケー。タイピング速度も上がっちゃいます。
 感想は来たらラッキーくらいでいましょう。見せなければゼロなので、ゼロよりは期待値が高いです。たまに酷い感想を受けることもありますが、いずれ気にならなくなります。途中から書くことが苦痛にならなくなります。

 小説は自己の表現です。性格や経験が直で出ます。流行りなど考える必要はありません。きっとあなたにしか書けない小説があるはずです。
 115万人も登録者がいるのですが、あなたの小説を気にいる人がきっといます。これを読んだ皆様によい読者・作者ライフが待っていることを祈っています。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 最後に、色々綺麗事っぽい事を書きましたが、ここに書いた内容はあくまで私の独断と偏見によるものであり、一般の見解でないことを強調して締めさせていただきます。
 
 今回、12月29日に書籍版が発売するアビス・コーリング(https://ncode.syosetu.com/n9040eb/)は、
 課金要素が酷すぎてサービス終了したソシャゲの世界に頭のネジがちょっと外れた元廃課金プレイヤーと純粋無垢な少女が召喚され、ひどい目に会うみたいなコメディ小説です。
 Web版は次章が最終章、十年で培ったR15レベルのエロを満載して締めるつもりでいます。

 つまり、私はそんな作品を書く人間です。よろしくお願いします。