【お便りコーナー】第46回: Swind先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるSwind先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、Swind先生よりご連絡いただきました文面となります。



Swindと書いてスインドと申します。こちらには二度目の寄稿となります。
 
はじめましての方ははじめまして!
そうでない方は、いつもご笑読頂きましてありがとうございます。

さて本日は、拙作『異世界駅舎の喫茶店 ( http://ncode.syosetu.com/n2046cp/ ) 』の小説書籍版続巻が宝島様より5月25日に、そしてコミックス版がKADOKAWA様より5月22日に刊行させて頂くこととなりましたので、筆をとらせていただきました。

初巻の発売から8ヶ月あまりと少し時間がかかってしまいましたが、こうして皆様に再びご挨拶ができることを嬉しく思っております。

さて、上述の通り、拙作『異世界駅舎の喫茶店』につきましては今回幸運にもコミカライズの機会を頂くことができました。
そこで、コミカライズ作業を通じて感じたことを、僭越ながら皆様にお伝えさせていただければと存じます。

コミカライズの作業を通じて最初に強く感じたのは『小説』と『漫画』では魅せ方が全く異なるということです。

『小説』は、舞台や主人公の内面、動作など物語のあらゆる部分を『会話』と『地の文』という二つの文章で描写されます。
人称や書き方など様々な形はありますが、地の文で舞台の情景や登場人物の心理などを細かく描写していくこととなります。

一方、『漫画』には『地の文』がありません。その代りに舞台情景やキャラクターの個性は『コマ割り(構成)』『絵』を通じて描いていくことになります。
モノローグ的に文字として描写することもありますが、それもあくまで補助的なものです。
また、会話で使える文字数も小説より格段に少なく、短い言葉でどんどん話しが進んでいく形になります。

この違いは想像以上に大きく、『漫画として面白い』作品にするためには、話しの流れを変えたり、時には大きくカットしていくことも必要になります。

一方で、やはり物語としての『芯』の部分は削れません。
作品全体として描きたい主題の部分はもちろんなのですが、私の場合、キャラクターの行動やセリフ回しについては特に気を使っていただきました。
拙作の場合、コミカライズを担当いただいた神名ゆゆ先生や担当編集様とも細かく刷り合せを勧められたということもあって、本当に良い形で仕立てて頂いたと思っております。

そしてもう一つ。

コミカライズに当たってご苦労をかけたのが、舞台の『絵』として設定です。
例えば拙作で言えば、駅舎やホーム、喫茶店『ツバメ』の内部がどうなっているのか?
蒸気機関車は具体的にどんなイメージのものなのか?
主人公たちが載っていたのはどんな列車なのか?
料理はどのような感じなのか? 存在していいものは、ダメなものは? 使われている文字は?

……などなど、細かく決めていかなければならないことがたくさんありました。

特に建物の構造(部屋割りや内装外観など)は、小説では割とアバウトでも許される部分ではありますが、コミカライズとなると背景描写を矛盾なく行うためには相当細かな設定が必要となります。
正直申しまして、この辺りはコミカライズ作業を通じて、設定がどんどんしっかりと煮詰めることができました。これは神名ゆゆ先生に大感謝です!

ただ、小説を書く段階でどこまで細かな設定が必要かといえば、そこは作品次第といったところでしょう。もしコミカライズを目指すとしても、まずは『小説として楽しい作品』をしっかりと描くことが優先されると存じます。”執筆時間に余裕のある時”に妄想するのはきっと楽しいですけどね(笑)

さて、最後に宣伝など。

冒頭にもあります通り、小説書籍版の続編となります『異世界駅舎の喫茶店 小さな魔女と記憶のタルト』が2017/5/25に宝島社様単行本として刊行となります。
今回もWeb版から大幅に改稿して書き下ろしも追加、前回同様『書き下ろしレシピ』も掲載しております。
今回はなんと『ミスター味っ子』や『将太の寿司』などでおなじみの料理漫画界のレジェンド、寺沢大介先生に推薦の言葉を頂くことができました。本当に感激です!
もちろん、pon-marsh 様の素敵なイラストも必見です!

そして、コミックス版『異世界駅舎の喫茶店 1』もKADOKAWA様より刊行となります。
発売日は2017/5/22、MFCレーベル、こちらは『異世界居酒屋「のぶ」』からしのぶさんの応援メッセージを頂くことができました!
神名ゆゆ先生の漫画による、小説版とはまた違った楽しい『ツバメ』の雰囲気を味わって頂けるかと存じます。漫画版では名古屋ネタも結構突っ込んでいます(笑)
ComicWalker / ニコニコ静画の『異世界コミック』コーナーにて引き続き連載されますので、どうぞこちらも合わせてご覧いただければ幸いです

第5回ネット小説大賞も間もなく最終審査結果が発表されるとのこと。
今年もたくさんの作品が新たに書籍化になり、きっとこの中からコミカライズされる作品も生まれるでしょう(そういえばコミカライズ賞もありますね!)
そんな新しい作品たちに負けないよう、そしてこれから書籍化・コミカライズを目指される皆様に夢と希望を持っていただけるよう精いっぱい頑張って取り組んでまいります。

最後に。

本当に多くの方との『縁』に恵まれまして、こうして無事に続巻を発刊することができ、そしてコミックスも刊行することができました。
それもひとえに読者の皆様が応援頂いたからだと思っております。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。

書籍版もコミック版も、もちろんWeb版もぜひご笑読いただきまして、そしてたくさんお腹が空いていただけましたら幸いです。

2017年のいちばん良い季節のある日 Swind