【お便りコーナー】第147回:景華先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である景華先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、景華先生よりいただきました文面となります。

皆様初めまして、景華(かげはな)です。

8月17日に、novelスピラ様にて「聖女不在による仮初め婚なのに、不器用な王太子に溺愛されています」が発売されました。

https://spira.jp/novel/529/

景華にとってのデビュー作品になります。
あらためて、読者の皆様、いつも応援、本当にありがとうございます。
こちらの作品はコミカライズも現在進行中ですので、よろしければお手に取ってみていただけると嬉しいです。

さて、アドバイス、ということなのですが、私からは「楽しんで書いてください」ということをアドバイスをさせていただきたいなと思います。
創作していくうえで、苦しむことはたくさんあると思います。

どんな展開にすれば読者に楽しんでいただけるだろう、どんな表現をすればわかりやすいだろう、どうすれば読んでもらえるだろう……。

ほとんどの創作者はそれを感じることも多いと思うのです。
「苦しむな」とは言いません。
それは必要なことだからです。
ただ、書籍化するにあたって、書かねばならない文字数というものは10万字を超えます。
結構な文字数です。
私の場合はどの長編作品も10万字は超えるように書いています。
普段から書くということに慣れておくと、書く力をつけることができます。

が、それができるのも、大前提として「楽しんでいる」から、なんですよね。
好きでもないものを書いていたとしても、きっと続けられません。
まして10万字を超えるものなど、難しいと思うのです。
なので、書籍化を考える皆様。
「楽しんで書いてください」
それはきっと、創作をしていく上で、あなたをどんな時も助けてくれるだろうから。

それでは皆様。
これからも「楽しんで」、共に物語を紡ぎ出していきましょうぞ!!



「聖女不在による仮初め婚なのに、不器用な王太子に溺愛されています」
アマゾン↓
https://www.amazon.co.jp/dp/4910617132
なろうページ↓(書籍版は削ったりしながらかなり加筆修正しています)
https://ncode.syosetu.com/n1717hw/

【お便りコーナー】第146回: 駄犬先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である 駄犬先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、駄犬先生よりいただきました文面となります。

皆さん、こんにちは。駄犬と申します。

このたび、『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』(GCN文庫)と『誰が勇者を殺したか』(スニーカー文庫)の2作品を9月29日に出版させて頂くことになりました。
https://gcnovels.jp/special/gcnb/monsterniku/
https://sneakerbunko.jp/series/daregayu/
是非、手に取って頂けると嬉しいです。

さて、新人作家(予定)のわたしがアドバイスというのもおこがましいのですが、体験的に皆さんに伝えられることは2つあると思います。
すなわち、

その1 作品は完結させろ
その2 作品は絶対完結させろ

ということですね。
はっきり言って、普通に掲載していても読まれることはありません。
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』は1年間連載していましたが、箸にも棒にもかからない低空飛行でした。完結させる直前は100ptくらいだったと思います。
感想とレビューは0。精神的にきつくなったので途中で打ち切りました。切腹です。
ただ、10件くらいのブックマークはあったので、その読者の方々に対する責任を果たすためにも、その先のストーリーを明らかにし、ダイジェストではありましたが完結させました。
最初は完結した作品になど誰も興味を持たず、ただブックマークが減るだけだと考えていたのですが、予想に反してポイントは上がり、300ptくらいにはなったと思います。
おまけにレビューを頂くこともできました。これはとても嬉しかったです。

気を良くしたわたしは、次にずっと構想を練ってきた『誰が勇者を殺したか』を書きました。
これは連載形式で書ける作品ではなかったので、一度全部書き上げてから1本づつ毎日アップする形を取りました。
満を持して送り出した作品ですが、何と連載中のポイントはブックマーク2件の4pt。病むかと思いました。
ただ、完結させた瞬間にポイントは跳ねあがり、ほとんどのランキングで1位をとって、四半期1位までは取れました。
これはちょっと出来過ぎだった気もしますが、とにかく完結させたから人に読まれるようになったわけです。6万字程度の作品でしたが、書籍化の打診をいくつか頂くことができました。
ちなみに『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』も『誰が勇者を殺したか』に引きずられて読まれるようになり、総合月間ランキングにまで掲載されて書籍化が決まりました。
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』だって、もし完結させてなかったら読者の方は読んでみようと思われなかったかもしれません。

物語を完結させるのは読者に対する責任だと思っています。例え不格好でも止めるならけじめをつけるべきだと。
そして完結させた物語は読んでくれる人がいますし、そこで評価されれば書籍化も望めます。
過去に評価されなかった作品だって、他の作品が評価されたときに再評価されることだってあります。
ちゃんと完結させていれば。
「そうは言っても、今書いている話は壮大な物語なんだ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、評価されずに続けていくのはかなりのメンタルが必要になります。ええ、わたしにはありませんでした。
評価されているならいいのですが、そうでないならキリの良いところで打ち切って、次に進んだら宜しいのではないでしょうか?
それに必ずしも『小説家になろう』で完結させる必要もないわけです。一旦区切って日の目を見た後に、書籍の方で完結させるという手もあるのですから。
そのほうがシリーズ化するときに、出版社の方も喜ぶと思います。

というわけで、9月29日発売の
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』(GCN文庫)
『誰が勇者を殺したか』(スニーカー文庫)
の2作品を宜しくお願い致します。

ではでは。

【お便りコーナー】第145回: 夢見里 龍先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である 夢見里 龍先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、夢見里 龍先生よりいただきました文面となります。

 皆様、こんにちは、夢見里龍(ゆめみし りゅう)と申します。
 このたび「小説家になろう」から《後宮食医の薬膳帖1》《後宮食医の薬膳帖2》《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》と連続で、後宮ミステリを出版させていただいているものです。
 読者さまのおかげさまで、三冊ともご好評をいただいており、後宮物のライト文芸でありながら男女の境なく幅広い読者様から続々とご感想を賜っております。
 ほんとうに感謝の想いがつきません!
 
 さて、このたびは「小説家になろう」にて書籍化を目指している皆様にちょっとしたアドバイス! というほどのものではないのですが、私はこうやっているうちになんか、書籍化させていただけました! みたいなものをお話しできれば、とおもっています。
 
 それは「小説に専門分野を組みこむこと」です。
 
 え、難しそう、とおもったでしょうか。いえいえ、意外とそうでもないのです。
 専門分野というと難しそうですが、好きな分野、興味があって調べている分野、これについてだったら詳しいぞという分野を、小説に取り入れていくのです。
 例えば「酪農」「農業」「介護」「医薬」といった専門職にまつわる分野、「料理」「DIY」「セラピー」といった趣味にまつわる分野、あとは昨今だと「Vtuber」とかも人気分野ですよね。
 これだったら、人よりも知っているぞ! とおもう分野をさらに掘りさげていけば、かならず小説につながる扉があるはずです。

 私の場合だと――――

 ファミ通文庫から好評発売中の《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》では「行動心理学」という分野を「後宮ミステリ」に組みあわせています。
 行動心理学とは人の無意識の仕草などから、思考を読み取る、というものです。
 例えば、そうですね。人は嘘をついているとき、視線をかならず「右上」にむけるそうです。人間は想像力を働かせるときは左脳を、なにかを想いだすときは右脳をつかいます。視線と脳の動きは交差しており、嘘をつくるために左脳を働かせると、無意識に視線が右側にむかってしまうのだとか。
 こうした心理学に基づいて、科学調査もできない「後宮」という世界観で事件を推理していく、という流れになっています。はじめは殺人事件などですが、話はどんどんとスケールが拡がり、廃嫡された第一皇子を皇帝にするため、心理学を駆使して民衆を動かすことになります。

 専門分野を小説に取りいれるさいに、私が最も意識しているのは「難解になりすぎないこと」です。

 さらにいってしまえば、組みこむのはその分野の「入門編」くらいの知識でいいとおもっています。
 なんなら、どの分野も「入門編」がいちばんおもしろいです。

 ただ、作者はある程度、勉強しておきましょう。なぜならば、小説に取り入れる知識というのは読者がテンポよく読めるようにかなり割愛しなければならないからです。割愛というのは、知識を訳すことです。
 面倒な用語を訳して、わかりやすい言葉に修正する。というのはもちろんのこと、「AがBになって、Cという現象を起こすことでDになる」という仕組みがあっても、テンポが必要な場面では「AはDになる」で充分だったりします。
 …………わかる、わかりますよ。せっかく勉強した知識を、いちからじゅうまで入れたくなるのは! 私もそうです!

 でも読者は専門書ではなく、小説を読みにきているのです。

 こういうときは、料理を想像しましょう。炒飯をつくるのに食材をあつめて、それを全部つかう、なんてことありますか? 
 お米はだいたい、5キロで売っています。でも、炒飯を5キロつくりますか? たまねぎもネットに入って3個売りですが、残しておいて、今度はカレーにしよう、とか思いませんか。それと一緒です。
(ちなみに私は、昔は炒飯をつくるなら、5キロのお米ぜんぶをつかわないともったいないとおもっていました。あの頃の公募原稿を読んでくださっていた下読みさんには頭があがりません。ほんとうにすみませんでした)
 
 あとは、取りいれる分野を「さらに細かい要素」と組みあわせることです。
 例えば「薬」といっても、異世界で抗生物質、消毒液をつくる! などの「モノづくり」に振るのか、「料理」をして薬膳にするのか、ではかなり違ってきます。
 
 メディアワークス文庫から好評発売中の《後宮食医の薬膳帖》では「漢方」「薬膳」という分野を取り扱っていますが、単純に「薬膳」+「後宮」だけだとよくある組みあわせなので、そこに「毒疫」という現実にはない「五行思想からなる奇病」というファンタジー要素をプラスしています。
 木の毒に侵されると脚から梅の花が咲いたり、火の毒だと触れるものすべてが燃えあがったり。水の毒では鱗が生えて、水に浸かっていないと息ができなくなります。
 そうした毒を、薬膳で解毒する。
 中国においては食材も五行思想に基づいて分類されています。人参や筍などは「土」の食材で、唐辛子、生姜は「金」の食材といったかんじです。
 五行思想においては「金」は「木」に克つので、「木」の毒を解くには「金」の食材をつかった薬膳を患者に処方します。
 ただ「木」の毒でも「水」から毒を吸いあげたのであれば、「水」の毒にたいする「薬」も必要になってきたりするので――そのあたりに推理という要素がかかわってきます。よって「推理」での連載を続けていました。

 そのオリジナル要素を読者様からご好評いただき、打診を賜ることができました。

 
 小説は錬金術だとおもっています。
 好きなもの、興味があるもの、得意なものを組みあわせて、鍋にいれたらポポンッと素敵な小説ができあがる!
 
 なによりも「私はこの分野が好きだ」という想いをこめれば、それが読者様や編集部様の胸に響いて、よき結果に繋がるのではないかと私はおもっています。
 長々と語りましたが、こちらはあくまでも私の場合はこうでした、という実例です。ちょっとでも参考になれば、嬉しいです。
 
 最後にもう一度だけ、宣伝させてください。

 行動心理学+後宮ミステリ
《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》ファミ通文庫(B6判)
https://famitsubunko.jp/product/322303000693.html 
 薬膳漢方+五行思想+後宮ミステリ
《後宮食医の薬膳帖 廃姫は毒を喰らいて薬となす》メディアワークス文庫
https://mwbunko.com/product/koukyu-syokui/
 現在、好評発売中です!

 さきほどの話を読んで「書籍化したんだったら参考までに読んでみるか」とか「専門分野ってどんなんだろう」とかおもっていただけたら、ぜひとも一度、御手に取っていただければ嬉しいです。
 皆様の創作がワクワクに満ちたものであることを祈りつつ、筆をおかせていただきます。
 またどこかでお逢いできれば、幸甚です。
 夢見里龍でした。

【お便りコーナー】第144回: みねバイヤーン先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるみねバイヤーン先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、みねバイヤーン先生よりいただきました文面となります。

小説家になろうの皆さま、いつもお世話になっております。みねバイヤーンと申します。

この度、11/14頃に「石投げ令嬢2〜婚約破棄してる王子を気絶させたら、王弟殿下が婿入りすることになった〜」(イラスト:村上ゆいち先生)がGAノベルさまより刊行される運びとなりました。

【特設サイト】 https://ga.sbcr.jp/special/ishinage/

貧乏領地で育ったミュリエル。領地の未来のために、王都に有能な婿を探しにきたところ、王子の婚約破棄イベントにでくわし。思わず石を投げて王子を気絶させちゃってー。やっべーと思いきや、陛下に褒められ、なぜか王弟が婿入りすることになりました。というお話です。

まっすぐで生命力の強い、石を投げて獲物を狩る元気な女の子が主人公です。強い女主人公が好きな人におすすめです。クスっと笑えて、スカッとし、サクサク展開します。
よろしくお願いいたします!

さて、このお便りコーナー、2回目です。作家になりたてのヒヨッコが、おこがましいにもほどがあるのですが。執筆に役立ったことを、私なりにお伝えできればと思います。

<執筆に役に立ったこと7つ>
①キャラをハリウッド俳優であてがきする
好きな俳優を小説のキャラに設定すると、キャラを動かしやすいです。VOGUEのインタビュー動画もオススメです。世界のトップで活躍している俳優さんは、オーラに満ちあふれていて、イメージをくっきりとつかむことができます。

②外国語を勉強する
逆説的ですが、外国語を勉強すると、日本語力が上がります。言葉のとらえかたが、立体的、多角的になるのではないかと思います。そして、外国語を学ぶと、その国の文化を広範囲に吸収できるので、視野が広くなります。

③海外に語学留学する
英語留学なら、ヨーロッパのマルタ島がオススメです。ヨーロッパ中から学生が集まるので、ナーロッパについてのイメージがわきやすくなります。色んな国の学生と交流することで、思いもよらない生き方、知らなかった文化を垣間見ることができます。
ドイツ人はカッチリしてる、イタリア人は陽気、フランス人はプライド高い、ベネズエラの政治終わってる、ロシア人は弁が立つ、オランダ人は背が高い、サウジの人は大金持ち、宿題をきっちりするのは日本人だけ。など、実感でき世界が広がります。

④企画を通すには
作家デビューすると、次の作品について担当編集者さんから打診を受けることがあります。でも好きなように書いて出版できるほど甘くはありません。企画書出してはボツをもらう日々です。一冊分書き上げても、ボツになることもあります。だんだん「何がおもしろいのか分からない」フェーズに入ってしまいます。そういうとき、なろうで短編投稿すると、読者さんとのチューニングができるので、オススメです。なろうである程度ポイントが取れると、企画のゴーも出やすくなります。なろうはテストマーケティングに最適です。

⑤自分の作品が模倣されたとき
なろうに作品を投稿し、ランキング上位に入ると、高確率で模倣されるでしょう。私もいくつか真似された経験があります。残念ながら、なろうの一部作者さんは、他作者さんが血を吐く思いで生み出した作品を、フリー素材だと思っています。そして、模倣作品が書籍化されたりします。仁義なき世界です。
インスピレーションを得て換骨奪胎するのは、いいのです。お互い、おおいにやりましょうよ。でも、まんまはあかんと思うのです。人として恥ずかしくないですか、作家としての矜持はないのですか。
模倣されたら、どうしたらいいのか、私は分かりません。運営さんに相談してもいいのかもしれません。でも、アイデアに著作権はないので、スルーになる可能性が高いのではないかと思います。
私は、怒りを執筆へのエネルギーに変えています。そして、なろうと出版業界に自浄作用がきちんと働く日がくることを祈っています。

⑥先人のノウハウを書籍から学ぶ
・「マナーはいらない」三浦しをん:読んでて楽しい。ゲラゲラ笑える。その上、執筆ノウハウまで学べます。お得です。
・「読者ハ読ムナ(笑)」藤田和日郎:編集者の攻略方法、編集者のノウハウをいかに吸収するか、などがスッと理解できます。みんな苦労してるんだ、私もがんばろう、という気持ちになれます。
・「ミステリの書き方」大御所作家さん44人の執筆ノウハウがつまびらかにされています。こんなトップオブザトップの作家先生でも、のたうち回って書いてらっしゃるんだなあ。そんな希望と絶望が同時に味わえます。
・「重版出来!」松田奈緒子:漫画家の才能と編集者の思いがぶつかり、傑作が出来上がる過程が熱い。
・「メタモルフォーゼの縁側」鶴谷香央理:創作に向かうときの純粋な思い。作品がつなぐ縁。きらめく尊い創作の世界、その一端を担いたい、そんな気持ちになれます。

⑦noteの「ニジマルカ|崖っぷち作家」さんのノウハウを学ぶ
ファンなので、勝手に師匠だと思って尊敬しているのですが。無料で惜しみなくノウハウを公開してくださっています。「好きなものを書いて上手くいかないとき~小説のちょっとしたコツ」を20回ぐらい読んだと思います。「自分の好きなものを中心にギュッと集め、その周りを流行のものや読者が好きな要素で覆う」というのがとても刺さりました。
【ニジマルカ|崖っぷち作家】https://note.com/nijimaruka/


以上、7つでした。

最後に、小説家になろうの皆さまにお礼です。
私、ドイツに住んでおりまして。シングルマザーで無職、必死に生きております。貯金と印税と細々とした日銭で生きているのですが。ドイツ人に日本語を教えたりもしています。生徒さんは日本のアニメが大好きで、「転スラ」の話題で盛り上がります。日本文化に支えられております。
株式会社ヒナプロジェクトの皆さま、ありがとうございます。
素敵な作品を書いてくださっている作者の皆さま、そして私の作品を読んでくださっている読者の皆さま、心より感謝いたします。


「石投げ令嬢2 〜婚約破棄してる王子を気絶させたら、王弟殿下が婿入りすることになった〜」(イラスト:村上ゆいち先生)(GAノベル)
【アマゾン予約サイト】https://www.amazon.co.jp/gp/product/4815619360
「婚約破棄されましたが、幸せに暮らしておりますわ!アンソロジーコミック 5巻」
(ZERO-SUMコミックス)
【アマゾン予約サイト】 https://www.amazon.co.jp/gp/product/4815619360

みねバイヤーン

【お便りコーナー】第143回: 東 吉乃先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である東 吉乃先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、東 吉乃先生よりいただきました文面となります。

 皆さまこんにちは、東吉乃(あずま よしの)と申します。

 この度、9/25に「ドロップアウトからの再就職先は、異世界の最強騎士団でした」の二巻が、オーバーラップノベルスfさまより刊行される運びとなりました。
 一巻をお手に取って頂いた皆様には重ねてお礼申し上げますとともに、どうぞ二巻についても宜しくお願い申し上げます。

【立ち読みサイト】http://blog.over-lap.co.jp/tachiyomi_2309/

 さて、一巻の時にもこのお便りコーナーに寄稿させて頂きまして、その際に「とても励まされました」と個別にメッセージなど頂戴しました。私にとってはそのお言葉が大変ありがたく、また嬉しいものでした。刊行そのもののみならず、こうして誰かと交流させて頂けることが小説を書くことの楽しみ、嬉しさの大きな一つだなと深く喜びを噛み締めました。
 そのような経緯もあり、どなたかのお役に少しでも立てればと考え、二巻刊行ご報告と合わせてお話させて頂きます。

 前回の題目は「低ポイントでも書籍化できる」ということでした。
 今回はそれをもう少し詳しく、違った観点からお話します。内容は「自分から動けば、書籍化を手繰り寄せることはできる」ということです。

 私がその物語を投稿し始めたのは、長期休みのことでした。
 当時、色々と文章の勉強というか試行錯誤をしておりまして、それまでの自分の癖を直そうと一本の物語を途中まで書き、完結までの目途がついた時点での連載開始でした。新しい挑戦だったので、完全に修行のつもりでそれまでとは違うジャンルを選びました。
 ちなみに直そうとした癖は、長い文章とどこまでも続く平坦な展開です。
 目指したのは「文章を短く」「展開を早く」して、かつ「長編ではなく中編でまとめる」ことでした。
 長期休みという人の多い時に連載を始めたのが良かったのでしょう。その物語は初日から多くの方にご覧頂けたようで、二話目更新の二日目にランキングに載りました。その後も一日一更新を続け、およそ二十日間ほどの連載でしたが日間一位にしばらく居座り、週間、月間、そして四半期ランキングにも残っておりました。ポイントも二万越えを達成し、まさに破竹の勢いだったと言えます。

 ポイントに関しては現在は若干インフレしている感がありますが、当時の相場観でいうとそのジャンルは一万から二万ポイントあれば大抵書籍化していました。
 なので、習作とはいえ書籍化できるかもという期待を持ち、二つほどコンテストに出しました。どちらのコンテストも、ポイント数で見た時に応募総数の中で十位以内に入っていましたので、せめて一次選考くらいは通るのでは、などと考えて。
 結果はどちらも惨敗です。
 一次選考さえも通りませんでした。
 それどころか、当時ランキングで顔なじみだった他の作品が、軒並み書籍化していくというおまけ付きです。これはなぜ分かったかというと、月間や四半期ランキングはそう大きく入れ替わらないので、いつしかタイトルやあらすじに「書籍化」という文字が見えるからです。
 他の作品の書籍化を横目で眺めつつ、その物語は書籍化には縁がなかったな、と諦めました。

 それから四年後。

 ツイッターで、とある出版社様が募集していた企画をたまたま拝見し、迷った末にその物語を出してみることにしました。
 というのも、その企画が「読後に幸せな気持ちになる作品」というかなり大きい枠での募集要項だったからです。基本的に私はハッピーエンドを描きたくて物語を書いていますので、これなら当てはまると自信が持てました。後は、沢山の方から愛されたその物語をどうにかして形にすることで、供養できたらという気持ちも大きかったです。

 これが有難いことに編集の方の目に留まり、書籍化を果たすことができました。
 二つのコンテストで一次さえも通らなかった作品が、です。

 この経験を通して私が得たものは、冒頭で述べたとおり「自分から動けば、書籍化を手繰り寄せることはできる」という事実です。今回も駄目かもしれない、と思って応募しなければ、この物語は書籍化しなかったでしょう。
 そして大事なことが実はもう一つ。
 書籍化したいからといって、やみくもにコンテストに出しても、きっとできていなかっただろうなということです。
 これは、「物語がどういうコンセプトであるのか」と「出版社が求めている物語はどういう毛色のものか」、この二つの観点が上手く合致した時に、初めて書籍化が成るということです。
 高ポイントだからどんな出版社、レーベルであっても受け入れてくれる、わけではありません。
 彼らにも売りたい話、推したい流れ、広げたい物語があります。それを無視しても、互いに幸せにはなれません。冷静に振り返ってみると、私が応募していた過去のコンテスト、募集要項にはかろうじて引っかかっていましたが、一言で申しますとレーベルカラーには合っていなかったなと反省しきりです。

 例えば重厚な戦記ベースの物語が多い出版社に、軽くて読みやすいふんわり日常の物語を持ち込んでも望み薄ということですね。方針転換したい、新機軸を追い求めたい、というような出版社側の意図があれば、あるいは引っかかることもあるかもしれませんが、可能性は限りなく低いです。
 どちらが良い悪いではありません。
 物語の「特色」を作者自身が掴んでいれば、より一層、適切なコンテストやレーベルに対してアプローチができて、書籍化が近づく、というお話です。
 そして、一巻の時にもお話しましたが、需要と供給が合致しさえすれば、ポイント数などほぼ関係ありません。

 ですから、作者の方々は我が子あるいは分身とも呼べるその作品が「何を主題にしているのか」をしっかり見極めた上で、書きたいものを書き続けてください。
 きっとその声は、出版社、編集の方、そして読者の方に届きます。


 最後にもう一度の宣伝となり恐縮ですが、「ドロップアウトからの再就職先は、異世界の最強騎士団でした」二巻につき、どうぞご覧くださいませ。
 またWEB版に加えてエピソードや曲紹介など増やしておりますので!

【各購入サイト】https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784824006134&vid=&cat=NVL&swrd=


 東 吉乃