【お便りコーナー】第149回:シオヤマ琴先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者であるシオヤマ琴先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、シオヤマ琴先生よりいただきました文面となります。

皆さん、はじめまして。
『最強で最速の無限レベルアップ』という書籍が講談社様より発売中のシオヤマ琴と申します。

https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000361370

私自身初の商業化作品で大したアドバイスは出来ませんので、話半分に聞いてください。
――とりあえず書き始めること――
これが大事だと私は思っています。
もちろん最初に設定を細かく考えて、伏線をたくさん用意して、練りに練ったプロットを準備するのも大事ですが、書き始めると意外とキャラが勝手に動き出してくれることも多々あります。
実際、私の小説の書き方は、大まかな流れを頭の中で考えたらとりあえず書き始めます。
そして、漫画やアニメのようにキャラが動くところを想像しながら筆を進ませることで、自然とアイデアが湧き出てくるのです。

さらに運も重要だと思っています。
正直言って私より文才のある方はたくさんおられるでしょう。
それでも私が書籍化に至ることが出来たのは、やはり運の要素が大きいと思います。
というのも、わらにもすがる思いで私はパソコンの壁紙を縁起が良いと言われている竹林の画像に変えてみたのです。
すると『最強最速』の書籍化・コミカライズが決まり、さらにその後もコンテストで二度受賞させていただくことが出来ました。
おかげですでに別作品の書籍化・コミカライズも決まっています。
単なる偶然と言われればそうなのかもしれませんが、自分で出来ることをすべてやり尽くしたあとは運に頼ってみてもいいのかなと思っています。
それが最後の一押しになるかもしれませんので。
この程度のアドバイスしか出来ませんが、今後も皆さんとともに切磋琢磨していけたら嬉しいです。

それでは最後に恐縮ですが、宣伝をさせてください。
今回の書籍はweb版にさらに加筆しています。そして書籍だけの書き下ろしも巻末に収録してあります。
また、コミカライズも連載中ですのでそちらも是非チェックしてみてください。

コミカライズ
https://comic-days.com/episode/4856001361536979282

Amazon
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E5%BC%B7%E3%81%A7%E6%9C%80%E9%80%9F%E3%81%AE%E7%84%A1%E9%99%90%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E3%80%90%E7%B5%8C%E9%A8%93%E5%80%A41000%E5%80%8D%E3%80%91%E3%81%A8%E3%80%90%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%91%E3%81%A7%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E4%B8%8A%E9%99%90%E3%81%AE%E6%9E%B7%E3%81%8C%E5%A4%96%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%BF%BA%E3%81%AF%E7%84%A1%E5%8F%8C%E3%81%99%E3%82%8B-K%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%A4%E3%83%9E-%E7%90%B4/dp/4065267323/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1696229779&sr=8-1

【お便りコーナー】第148回: 有郷 葉/①小説の注目度を高めるために②ブックマークをつけてもらうために、私が最も大切だと思うことをお伝えします。先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である有郷 葉/①小説の注目度を高めるために②ブックマークをつけてもらうために、私が最も大切だと思うことをお伝えします。先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、有郷 葉/①小説の注目度を高めるために②ブックマークをつけてもらうために、私が最も大切だと思うことをお伝えします。先生よりいただきました文面となります。

はじめまして。有郷 葉と申します。
今回は私が小説を投稿する上で大切にしている二点をお伝えします。
ランキングに載ることを目指している方の助けに少しでもなれば幸いです。私自身、ランキングは微妙な所止まりの経験しかありませんが、一応書籍も出させていただいていますので……。
小説家になろう様への恩返しの思いも込めて本気で書きました。ですのでちょっと長いです。


①小説の注目度を高めるために大切なこと

やはり何といっても一番は、タイトルです。
これは皆さんも色々な所でよく耳にするのではないでしょうか。
多くの人がこの重要性を説いています。なぜなら本当に重要だからです。
読者が数ある投稿小説の中から選ぶ際、最初に見るのがタイトルです。この段階で弾かれてしまえばそれまでですので。
また、スマホではもうタイトルしか見えません。あらすじを開いてもらうにはここにこだわるしかありません。
ちなみに、スマホでご覧になっている方はとても多いです。
私の体感ですが、ランキングになるとPCの1.5倍~2倍ほどです。それ以外でも半数以上はスマホユーザーだと思います。

では、どのようなタイトルにすればいいのか。
私はできる限り小説の内容が分かるものにするべきだと思います。
となれば、どうしても長いタイトルになりがちです。長いのはポリシーに反する、という方もおられるでしょうが、ここは割り切ってみてはどうでしょうか。
内容の分かるタイトルの方が、そうでないものより明らかに有利です。
タイトル=メインタイトル+タイトル付きあらすじ1+タイトル付きあらすじ2 といった風に考えてみてもいいかもしれません。
あくまでも投稿用小説と割り切り、もし書籍化が決まればまたその時に考えればいいと思います。
では、私の小説を具体例に説明します。

ベルセレス・リライフ ~史上最凶の狂戦士、惰弱な孤児少女に転生する~

どうでしょう、ある程度は内容の察しがつきますよね。
しかし、私は不十分に感じました。もう少し、主人公の容姿、性格、話の展開を伝えられないかと。
タイトルでそれは欲張りすぎですか? そんなことはありません。可能な限り欲張ってください。
ですので、こうしてみました。

ベルセレス・リライフ ~史上最凶の狂戦士、惰弱な孤児少女に転生する~「愛くるしい小動物系美少女?いいえ、あれは踏んだら最期の地雷系女子です」

これで、小さくて可愛い少女が何かやらかす話、というのがより伝わるようになったと思います。
実際に、付け足してから目に見えてPVが伸びました。
また、ここまで長くなくてもいい場合もあります。

ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。

これはタイトルについて今ほど深く考えていない時に付けたものですが、幸運にも主人公のキャラクターや話の内容まで伝わるものになっていました。
ジャガイモ農家の村娘、がパワーワードです。これだけで田舎娘、おっとりしてそうと何となくイメージしますよね。(ジャガイモ農家の方々、すみません)さらに後半の文章との間でいい感じにギャップが生まれている気もします。
ちなみにこの小説はハイファンタジーランキング最高6位でしたが、数か月ランキングに留まり、先日書籍2巻とコミックが発売になりました。
ここまで来れたのも、タイトルの力が少なからずあったと思います。

ランキングでの競争は熾烈です。ライバルは書籍やコミックを出していたり、アニメ化していたりと様々な所からPVを集められるのですから。
もしあなたがこれからそこを目指すのなら、タイトルは一番頼りになる武器かもしれません。

補足程度になって申し訳ないのですが、タイトルの次に大切なのがあらすじです。
あらすじは本文よりしっかり書いた方がいい、などよく言われますが、その通りです。
読む人が読めばあらすじだけで書く力が分かったりします。長さはあまり重要ではなく、いかに的確に、引きつけられるあらすじを書けるかがポイントな気がします。
こうして、タイトル、あらすじとクリアして、晴れて本文を読んでもらえます。
次節ではそこを解説します。


②ブックマークをつけてもらうために大切なこと

私が思うに、序盤の展開だと思います。
特に四話目辺りまでに詰めこめるだけ詰めこむべきです。
設定や背景の説明は必要な分にとどめ、ストーリーを展開させることが大事です。
では、ここでも具体例を出して説明します。

MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で、最弱クラスのまま人類最強に。~

……どういう話かは説明しなくていいかもしれません。タイトルのおかげで。
序盤の流れをざっくり書きます。

1話目 メイドがドジを踏み、たった一人で戦場に転送されます。
2話目 助けてくれる人達に出会ったと思いきや、その人達が……。そこが地獄であると再認識。
3話目 難を逃れたはずが一転して絶体絶命の危機に。が、固有魔法のおかげで助かります。
4話目 難を逃れたはずがさらなる絶体絶命の危機に。固有魔法がさらなる力を発揮して助かります。

……ざっくり書くと、大丈夫かこれ、と思うかもしれませんが。大丈夫です。合間にゆったりしたペースの所や笑いを誘うシーンなんかも挟んでいますので。
ただ、ここまで詰めこむ必要はない気もします。
書くジャンルそれぞれの見所があると思いますので、それらをいくつか入れればいいかと。
この先を読みたい、と思ってもらうことが大切です。
そして、最初のその数話はなるべく間隔を空けすぎずに投稿した方がいいです。ランキングに載るにはポイントは固めて、が鉄則ですので。
ブックマークだけじゃなく、評価もつけてもらえるかもしれません。
とにかく、序盤で読み手を引きこむことを意識してください。
このメイデスは最高順位は8位か9位だったと思いますが、6万文字くらい書いて二か月ほど寝かせておいたところ書籍化のお話をいただきました。
そういうこともありますので、ポイント以上の成果が得られるかもしれません。

あともう一点だけ。
ポイントやランキングに載るためには、テンプレ要素は大事です。ですがそれだけじゃなく、あなたが得意とすること、面白いと思うことをうまく組み合わせることができたなら、その小説は輝くと思います。
と5位以内に入ったことのない私が偉そうに言ってみます。いつか表紙に載ってみたい。

ずいぶん長文になってしまい、すみません。
お読みいただき、有難うございました。
最後に、今回例に出した小説のURLを貼らせてください。
ちなみに、ベルセレス・リライフはメイデスの一部になります。これを投稿している時にメイデスへのお話をいただいたので、案外そちらから辿っていただいたのかもしれません。

ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。
https://ncode.syosetu.com/n7589hm/
MAIDes/メイデス ~メイド、地獄の戦場に転送される。固有のゴミ収集魔法で、最弱クラスのまま人類最強に。~
https://ncode.syosetu.com/n6440id/

Amazonは貼らなくてもいいですかね。私の書いた物語を気に入っていただいた上で、いつか本も手に取っていただけたら嬉しいです。

【お便りコーナー】第147回:景華先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である景華先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、景華先生よりいただきました文面となります。

皆様初めまして、景華(かげはな)です。

8月17日に、novelスピラ様にて「聖女不在による仮初め婚なのに、不器用な王太子に溺愛されています」が発売されました。

https://spira.jp/novel/529/

景華にとってのデビュー作品になります。
あらためて、読者の皆様、いつも応援、本当にありがとうございます。
こちらの作品はコミカライズも現在進行中ですので、よろしければお手に取ってみていただけると嬉しいです。

さて、アドバイス、ということなのですが、私からは「楽しんで書いてください」ということをアドバイスをさせていただきたいなと思います。
創作していくうえで、苦しむことはたくさんあると思います。

どんな展開にすれば読者に楽しんでいただけるだろう、どんな表現をすればわかりやすいだろう、どうすれば読んでもらえるだろう……。

ほとんどの創作者はそれを感じることも多いと思うのです。
「苦しむな」とは言いません。
それは必要なことだからです。
ただ、書籍化するにあたって、書かねばならない文字数というものは10万字を超えます。
結構な文字数です。
私の場合はどの長編作品も10万字は超えるように書いています。
普段から書くということに慣れておくと、書く力をつけることができます。

が、それができるのも、大前提として「楽しんでいる」から、なんですよね。
好きでもないものを書いていたとしても、きっと続けられません。
まして10万字を超えるものなど、難しいと思うのです。
なので、書籍化を考える皆様。
「楽しんで書いてください」
それはきっと、創作をしていく上で、あなたをどんな時も助けてくれるだろうから。

それでは皆様。
これからも「楽しんで」、共に物語を紡ぎ出していきましょうぞ!!



「聖女不在による仮初め婚なのに、不器用な王太子に溺愛されています」
アマゾン↓
https://www.amazon.co.jp/dp/4910617132
なろうページ↓(書籍版は削ったりしながらかなり加筆修正しています)
https://ncode.syosetu.com/n1717hw/

【お便りコーナー】第146回: 駄犬先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である 駄犬先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、駄犬先生よりいただきました文面となります。

皆さん、こんにちは。駄犬と申します。

このたび、『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』(GCN文庫)と『誰が勇者を殺したか』(スニーカー文庫)の2作品を9月29日に出版させて頂くことになりました。
https://gcnovels.jp/special/gcnb/monsterniku/
https://sneakerbunko.jp/series/daregayu/
是非、手に取って頂けると嬉しいです。

さて、新人作家(予定)のわたしがアドバイスというのもおこがましいのですが、体験的に皆さんに伝えられることは2つあると思います。
すなわち、

その1 作品は完結させろ
その2 作品は絶対完結させろ

ということですね。
はっきり言って、普通に掲載していても読まれることはありません。
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』は1年間連載していましたが、箸にも棒にもかからない低空飛行でした。完結させる直前は100ptくらいだったと思います。
感想とレビューは0。精神的にきつくなったので途中で打ち切りました。切腹です。
ただ、10件くらいのブックマークはあったので、その読者の方々に対する責任を果たすためにも、その先のストーリーを明らかにし、ダイジェストではありましたが完結させました。
最初は完結した作品になど誰も興味を持たず、ただブックマークが減るだけだと考えていたのですが、予想に反してポイントは上がり、300ptくらいにはなったと思います。
おまけにレビューを頂くこともできました。これはとても嬉しかったです。

気を良くしたわたしは、次にずっと構想を練ってきた『誰が勇者を殺したか』を書きました。
これは連載形式で書ける作品ではなかったので、一度全部書き上げてから1本づつ毎日アップする形を取りました。
満を持して送り出した作品ですが、何と連載中のポイントはブックマーク2件の4pt。病むかと思いました。
ただ、完結させた瞬間にポイントは跳ねあがり、ほとんどのランキングで1位をとって、四半期1位までは取れました。
これはちょっと出来過ぎだった気もしますが、とにかく完結させたから人に読まれるようになったわけです。6万字程度の作品でしたが、書籍化の打診をいくつか頂くことができました。
ちなみに『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』も『誰が勇者を殺したか』に引きずられて読まれるようになり、総合月間ランキングにまで掲載されて書籍化が決まりました。
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』だって、もし完結させてなかったら読者の方は読んでみようと思われなかったかもしれません。

物語を完結させるのは読者に対する責任だと思っています。例え不格好でも止めるならけじめをつけるべきだと。
そして完結させた物語は読んでくれる人がいますし、そこで評価されれば書籍化も望めます。
過去に評価されなかった作品だって、他の作品が評価されたときに再評価されることだってあります。
ちゃんと完結させていれば。
「そうは言っても、今書いている話は壮大な物語なんだ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、評価されずに続けていくのはかなりのメンタルが必要になります。ええ、わたしにはありませんでした。
評価されているならいいのですが、そうでないならキリの良いところで打ち切って、次に進んだら宜しいのではないでしょうか?
それに必ずしも『小説家になろう』で完結させる必要もないわけです。一旦区切って日の目を見た後に、書籍の方で完結させるという手もあるのですから。
そのほうがシリーズ化するときに、出版社の方も喜ぶと思います。

というわけで、9月29日発売の
『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』(GCN文庫)
『誰が勇者を殺したか』(スニーカー文庫)
の2作品を宜しくお願い致します。

ではでは。

【お便りコーナー】第145回: 夢見里 龍先生

小説家になろうをいつもご利用いただきありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である 夢見里 龍先生よりお便りをいただきましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、夢見里 龍先生よりいただきました文面となります。

 皆様、こんにちは、夢見里龍(ゆめみし りゅう)と申します。
 このたび「小説家になろう」から《後宮食医の薬膳帖1》《後宮食医の薬膳帖2》《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》と連続で、後宮ミステリを出版させていただいているものです。
 読者さまのおかげさまで、三冊ともご好評をいただいており、後宮物のライト文芸でありながら男女の境なく幅広い読者様から続々とご感想を賜っております。
 ほんとうに感謝の想いがつきません!
 
 さて、このたびは「小説家になろう」にて書籍化を目指している皆様にちょっとしたアドバイス! というほどのものではないのですが、私はこうやっているうちになんか、書籍化させていただけました! みたいなものをお話しできれば、とおもっています。
 
 それは「小説に専門分野を組みこむこと」です。
 
 え、難しそう、とおもったでしょうか。いえいえ、意外とそうでもないのです。
 専門分野というと難しそうですが、好きな分野、興味があって調べている分野、これについてだったら詳しいぞという分野を、小説に取り入れていくのです。
 例えば「酪農」「農業」「介護」「医薬」といった専門職にまつわる分野、「料理」「DIY」「セラピー」といった趣味にまつわる分野、あとは昨今だと「Vtuber」とかも人気分野ですよね。
 これだったら、人よりも知っているぞ! とおもう分野をさらに掘りさげていけば、かならず小説につながる扉があるはずです。

 私の場合だと――――

 ファミ通文庫から好評発売中の《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》では「行動心理学」という分野を「後宮ミステリ」に組みあわせています。
 行動心理学とは人の無意識の仕草などから、思考を読み取る、というものです。
 例えば、そうですね。人は嘘をついているとき、視線をかならず「右上」にむけるそうです。人間は想像力を働かせるときは左脳を、なにかを想いだすときは右脳をつかいます。視線と脳の動きは交差しており、嘘をつくるために左脳を働かせると、無意識に視線が右側にむかってしまうのだとか。
 こうした心理学に基づいて、科学調査もできない「後宮」という世界観で事件を推理していく、という流れになっています。はじめは殺人事件などですが、話はどんどんとスケールが拡がり、廃嫡された第一皇子を皇帝にするため、心理学を駆使して民衆を動かすことになります。

 専門分野を小説に取りいれるさいに、私が最も意識しているのは「難解になりすぎないこと」です。

 さらにいってしまえば、組みこむのはその分野の「入門編」くらいの知識でいいとおもっています。
 なんなら、どの分野も「入門編」がいちばんおもしろいです。

 ただ、作者はある程度、勉強しておきましょう。なぜならば、小説に取り入れる知識というのは読者がテンポよく読めるようにかなり割愛しなければならないからです。割愛というのは、知識を訳すことです。
 面倒な用語を訳して、わかりやすい言葉に修正する。というのはもちろんのこと、「AがBになって、Cという現象を起こすことでDになる」という仕組みがあっても、テンポが必要な場面では「AはDになる」で充分だったりします。
 …………わかる、わかりますよ。せっかく勉強した知識を、いちからじゅうまで入れたくなるのは! 私もそうです!

 でも読者は専門書ではなく、小説を読みにきているのです。

 こういうときは、料理を想像しましょう。炒飯をつくるのに食材をあつめて、それを全部つかう、なんてことありますか? 
 お米はだいたい、5キロで売っています。でも、炒飯を5キロつくりますか? たまねぎもネットに入って3個売りですが、残しておいて、今度はカレーにしよう、とか思いませんか。それと一緒です。
(ちなみに私は、昔は炒飯をつくるなら、5キロのお米ぜんぶをつかわないともったいないとおもっていました。あの頃の公募原稿を読んでくださっていた下読みさんには頭があがりません。ほんとうにすみませんでした)
 
 あとは、取りいれる分野を「さらに細かい要素」と組みあわせることです。
 例えば「薬」といっても、異世界で抗生物質、消毒液をつくる! などの「モノづくり」に振るのか、「料理」をして薬膳にするのか、ではかなり違ってきます。
 
 メディアワークス文庫から好評発売中の《後宮食医の薬膳帖》では「漢方」「薬膳」という分野を取り扱っていますが、単純に「薬膳」+「後宮」だけだとよくある組みあわせなので、そこに「毒疫」という現実にはない「五行思想からなる奇病」というファンタジー要素をプラスしています。
 木の毒に侵されると脚から梅の花が咲いたり、火の毒だと触れるものすべてが燃えあがったり。水の毒では鱗が生えて、水に浸かっていないと息ができなくなります。
 そうした毒を、薬膳で解毒する。
 中国においては食材も五行思想に基づいて分類されています。人参や筍などは「土」の食材で、唐辛子、生姜は「金」の食材といったかんじです。
 五行思想においては「金」は「木」に克つので、「木」の毒を解くには「金」の食材をつかった薬膳を患者に処方します。
 ただ「木」の毒でも「水」から毒を吸いあげたのであれば、「水」の毒にたいする「薬」も必要になってきたりするので――そのあたりに推理という要素がかかわってきます。よって「推理」での連載を続けていました。

 そのオリジナル要素を読者様からご好評いただき、打診を賜ることができました。

 
 小説は錬金術だとおもっています。
 好きなもの、興味があるもの、得意なものを組みあわせて、鍋にいれたらポポンッと素敵な小説ができあがる!
 
 なによりも「私はこの分野が好きだ」という想いをこめれば、それが読者様や編集部様の胸に響いて、よき結果に繋がるのではないかと私はおもっています。
 長々と語りましたが、こちらはあくまでも私の場合はこうでした、という実例です。ちょっとでも参考になれば、嬉しいです。
 
 最後にもう一度だけ、宣伝させてください。

 行動心理学+後宮ミステリ
《後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く》ファミ通文庫(B6判)
https://famitsubunko.jp/product/322303000693.html 
 薬膳漢方+五行思想+後宮ミステリ
《後宮食医の薬膳帖 廃姫は毒を喰らいて薬となす》メディアワークス文庫
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 さきほどの話を読んで「書籍化したんだったら参考までに読んでみるか」とか「専門分野ってどんなんだろう」とかおもっていただけたら、ぜひとも一度、御手に取っていただければ嬉しいです。
 皆様の創作がワクワクに満ちたものであることを祈りつつ、筆をおかせていただきます。
 またどこかでお逢いできれば、幸甚です。
 夢見里龍でした。