【お便りコーナー】第60回: 田山 翔太先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である田山 翔太先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、 田山 翔太先生よりご連絡いただきました文面となります。



 はじめまして、田山翔太と申します。

 平成30年3月25日、オーバーラップノベルスより

「インスタント・メサイア」
(1部:https://ncode.syosetu.com/n8143bt)
(2部:https://ncode.syosetu.com/n8607dt)
(学園IF:https://ncode.syosetu.com/n5938eq)

 という作品が書籍化いたしました。
 皆様方の御声援のお蔭です。誠にありがとうございます。


 さて、この度、小説を書いてらっしゃる皆様、読者の皆様にお伝えしたい事がございまして、恥ずかしながらこちらに投稿させていただいた次第です。


 まず、「小説家になろう」で作品を書いている方へ。

 私の書いている小説は、ラブコメです。ファンタジーです。サイコホラーであり、復讐ものでもあり、純愛の物語でもあります。
 しかし、いわゆる転移ものではなく、転生ものでもありません。
 正直に申し上げますなら、流行から外れているとのご指摘を受けた事もございます。

 ですが、私は私の作品が好きです。
 私自身の作った子です、誰より愛していると胸を張って言えます。
 そしてそれは、私の人生の中で大きな財産となっています。

 作品を書籍にしていただいた事が、ではありません。
 自分が書きたいものを書けた事、そして何より、私が私の作ったものを愛することが出来た、というその事実がより大きな財産となったのです。

 私が作者の皆様に伝えたい事は、結局のところ一つだけです。

 自分の作品を愛してあげてください。
 どのような事があったとしても、そこだけは忘れていただきたくはないのです。

「お前ごときに言われるまでもない」というお怒りの言葉が返ってくることこそ、私が求めるところです。
 その際は不実者ゆえ、内心の喜びを隠せないながらも、深く謝罪いたします。


 読者の皆様へ。

 小説を読む事が楽しい。
 そう感じる感性の方々が、これほど多くにいらっしゃる事。
 その事実に対して、私は大きな喜びを感じています。

 ところで、これはお節介な言葉かもしれませんが、自分が楽しめるジャンルや感性を否定される事があるかもしれません。
 あるいは、小説を読む趣味自体が否定されることがあるかもしれません。

 ですが、どうか胸を張ってください。
 楽しめる「何か」を持っている。
「何か」を楽しめる感性を持っている。
 それは、皆様のとても秀でているところなのです。

 小説は楽しいものです。読む事も、書く事も。
 楽しいものを楽しめる事は、何より素晴らしい事と思料いたします。

 どうかこれからも、何卒小説という媒体を愛していただけますよう、こちらにお示しさせていただきたく。

 ……偉そうな言葉に聞こえてしまったのでしたら、その旨謝罪いたします。


 さて、以上がお話したい事の主眼でしたので、以下はさしたることではございません。
 小説を手掛けておられる方、あるいは「これから書いてみようかな」と思っていらっしゃる方に対し、いくつかを書かせていただきたく。

 恥ずかしながら。
 恥ずかしながらも書いちゃいます。

 私自身が独学でしたので、「これが正しい」と言い切ることなど到底出来ませんが、ちょっとした参考になればと思いお示しいたします。


①プロットについて

 私は、プロットというものを「ストーリーの筋を単純に表したもの」と理解しています。物語の骨組みと表現しても良いのかもしれません。
 あるいは、グラフにおいて測定値等を示すものもプロットと呼ばれますが、まさしくそのとおりで、ストーリーの重要な点を表現したものがそれに当たるかと思います。
 この点を通ってストーリーは進行していくものかと。

 正直、プロットについては、物語の収束点も含めて、なるべく精密に作成しておいたほうがよろしいかと思います。
 勿論、本文を書き進めるうちにどんどんプロット自体も微妙に変わっていくものですが、その際はプロット全体と比較してストーリーに矛盾が無いかを確認するのがおすすめです。
 ストーリーの重要なイベント前などには立ち返って、またプロットに時間を割いたりします。

 その他、あらかじめプロットを重要なイベントごとに項目分けしておき、その下に後々本文となる文章を書いておきますと、自分の中でストーリーの全体像がより掴みやすくなるように思います。
 また、この手法の副産物として、物語の筋に大きく関わらないエピソードなども、どのタイミングで入れるべきかを考えやすくなります。

 欠点としては、プロットに力を入れすぎると本文を書くスピードが落ちる事です。
 ですが、伏線を物語に組み込みたい場合であればこの作業は必須になるかと思いますので、ご留意くださいませ。


②キャラクター設定について

 キャラクターを作る時に一番重要な事。
 それは、「自分がどんなキャラクターが好きか」をあらかじめ整理しておくことです。
 キャラクターを好きになるのってとっても大事。

 自分がそのキャラクターを好きになれないと、あまり物語の中で彼ら彼女らは動いてくれなくなるように思います。
 動かしたくてもストーリー上動かせない場合も多々ありますが……。

 物語上、当然自分の嫌いな性格のキャラクターを出す必然性も出てくるかと思います。

 その時は、彼ら彼女らのエピソードを考えてみて、愛着を持てるようにするのがよろしいかと。

 私は自分の作品のキャラクター、みんな大好きです。

「このキャラクターの気持ちには寄り添えない……!」

 そう思った時、その子の背景を考えまくってみたら、

「なんかちょっと好きかも……」
「いや、やっぱり愛してる!」

 と気持ちが変化していきました。


③その他

 文章は、私にとっては呼吸と同じような物でした。
 書けば、読みたくなる。
 読むと、書きたくなる。
 それを繰り返していると、意外と長く書き続けることが出来ました。

 文章が書けないときには、文章を読みましょう。
 いずれまた書くときに、必ずあなたの糧になります。

 ただし、一点ご承知おきいただきたい事が。
 私が尊敬している先生の言葉に、「下手な稽古、駄目な稽古」というものがあります。

 ものを書くときに当てはめるとしたなら、次のようなものでしょうか。

「はじめは上手く行かなくても、正しいやり方を続けることで成長することは出来ます。
しかし考え無しに、手当たり次第に書くだけでは、文章自体が上手くなることはありません」

 ブーメランです。
 耳が痛い心が痛い。
 正しいやり方を今後とも追い求めます。精進いたします。


 さて。

 このようにお話をさせていただける場を提供いただいた「小説家になろう」様、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

 これからも、皆様と一緒に、私自身も成長していきたく思います。

 今後ともよろしくお願いいたします。


 最後に宣伝をば。

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 書店さんでお見かけした際には、お手に取っていただければ幸いです。


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 編集さんとやんちゃした痕跡:http://blog.over-lap.co.jp/aprilfool_instantmessiah

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 よろしくお願いいたします。