【お便りコーナー】第29回:片遊佐 牽太先生

小説家になろうをいつもご利用頂きありがとうございます。
この度、小説家になろう登録作者である 片遊佐 牽太先生よりお便りを頂きましたのでこの場にて利用者の皆様にお伝えいたします。

以下、 片遊佐 牽太先生よりご連絡いただきました文面となります。



 みなさん、こんにちは。そして初めまして。
 『美女と賢者と魔人の剣』作者の片遊佐 牽太と申します。

 『美女と賢者と魔人の剣』:http://ncode.syosetu.com/n4191cj/

 現在、『小説家になろう』のタイアップ企画『第四回ネット小説大賞』(旧称:なろうコン)の選考が行われておりますが、拙作『美女と賢者と魔人の剣』は前回の『第三回なろうコン大賞』の受賞作に選んでいただいた作品です。
 『第三回なろうコン大賞』では6284作もの応募作から、21作の受賞作と追加の1作の計22作品が書籍化されることになりました。そして『美女と賢者と魔人の剣』はその『22番目』に出版される書籍として、4月3日に発売を迎えることとなります。

 さて、現在選考が進んでいる『第四回ネット小説大賞』は、先日応募された7612作品から、一次選考通過の471作品が発表となりました。選考に通過された方、惜しくも通過ならなかった方、そして読者として応援されている方、それぞれいらっしゃると思います。
 今回は決して選考通過のノウハウを語ろうなどということではないのですが、前回『第三回なろうコン大賞』において拙作が受賞・書籍化まで到達した際のエピソードを少しお伝え出来ればと思い、お便りさせていただきました。何かしらをご参考にしていただければ幸いです。

 実は私は書籍化デビューを目指すのを、かなり前に諦めてしまった経緯を持っています。それ以来小説らしき文章を書くことすらしませんでしたので、この『小説家になろう』に辿り着いた時には、随分と『小説を書く』ということにブランクを持っていました。
 とはいえ一通り気に入った作品を読んだ後、いざ自分も書いてみようと思いました。ですが、なかなか手が動きません。ブランクがあるから当然なのですが、それでも何とか4万字ほどを書き溜めることに成功しました。今思えばそれは、乱文極まりない稚拙な内容です。でもそれを何とか一纏めにし、順次投稿していくことにしました。
 スタートで書き溜めを行ったのは、序盤に纏まった量を投稿しないと読者を獲得できないと思ったからです。ですがそれらを投稿し尽くした結果、ブックマークは10ほどしか付かず、付いた感想はゼロでした。
 誰しもスタートは知名度などありません。自分の書いたものに注目を集めるということがこれほど難しいものなのかと、その時実感しました。
 しかしながら諦めの悪い私は、それから出来るだけ毎日投稿し続けることにしました。時間を縫って書く小説ですから、中身は相当荒いものです。見直せば見直すほど改善点がありますが、とにかく物語を進めることを優先しました。
 それから2ヶ月ほど経つと、更新頻度が功を奏して少しブックマークが増えました。ですが話数が40を超え、文字数も優に20万字を超えた時点でブックマークは100ほどです。さすがにここまで来ると、そもそも自分が書いているものに対しての自信を失い始めました。
 『第三回なろうコン大賞』の募集に気づいたのは、そんな時のことです。私はぜひ審査を受けてみたいと思い、応募することにしました。
 更新はそれからも継続しましたが、相変わらずの低空飛行です。私は『小説家になろう』のアクセス解析を見て思いの外、序盤の数話で読むのをやめてしまっている人が多いことに気づきました。
 そこからしばらくは更新に加え、第一話から序盤のリライトとあらすじの見直しを行いました。小説自体を投稿し直すことはせず、これから読みに来てくれる方に期待して完成度を高めようとしたのです。
 それから少し経ったある日、初めてランキングの下の方を掠った日がありました。
 日間ランキングを駆け上がったのはそこからです。既に話数は60話近く、文字数は30万字に到達していました。掲載から早々にランクインする作品が多い中、ちょっと変わったランクインの仕方だったかもしれません。
 そして、多くの人の目に触れポイントが増えると、様々な意見を頂戴することになりました。それらを参考にさせてもらいながら、序盤の5万字ほどを更にもう一度リライトしました。それは書籍化を考えれば、やはりスタートの10万字(約文庫本1冊分)までの部分が勝負になると思ったからです(注:これは私個人の考えです)。
 そこから『美女と賢者と魔人の剣』は『第三回なろうコン大賞』の一次審査を突破し、二次審査、そして最終審査に残ることになっていきました。

 もし仮に、あの時の自分を褒めることがあるとすれば、低空飛行だったにもかかわらず「諦めずに続けた」ことに尽きると思います。なので私から申し上げられることは、やはり頑張って継続する、頑張って進めるということです。

 …ということでサクセスストーリーっぽく見えますが、実際はたまたま運が良かったというだけかもしれません。やはりこの世の中、上手くいかないことの方が多いですから…。

 幸いにして拙作は書籍となるチャンスをいただきましたので、第一巻の書籍化にあたって1000カ所近い修正と約2万字の加筆を行いました。小説というのは奇妙なもので、いくら見直しても直したい部分が尽きません。とはいえ完成度は高まっていると思いますので、低空飛行のスタートから書籍化まで漕ぎ着けた本作を、ぜひご覧いただければ幸いです。

 『美女と賢者と魔人の剣 ①』は、株式会社ポニーキャニオンのライトノベルレーベルである『ぽにきゃんBOOKS』から2016年4月3日発売です。

 ゲームを彷彿とさせる世界観と、ちょっぴりセクシーな冒険がお好きな方へ。
 『第三回なろうコン大賞』のオオトリを務める本作を、ぜひ手に取ってみてください。
 よろしくお願い致します。

『美女と賢者と魔人の剣 ①』(著:片遊佐 牽太/絵:六時)
http://www.ponicanbooks.jp/book/1346/

2016年3月
片遊佐 牽太